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『 なによりも美しいと感じられること。技術はそれを支えているだけ── 』


真のエレガンスを実現するために、パリのアトリエでひとつひとつの製品を手仕事でつくっているデザイナーがいます。
その名は、セルジュ・アモルソ。
皮革製品のビスポークを専門にし、年間に生産できるバッグの数は100個ほど。
にもかかわらず、彼のアトリエには"じぶんだけの特別なもの"を求めて世界じゅうから好事家というか、見巧者たちがやってきます。


セルジュ・アモルソがつくる皮革製品に魅せられた誰もがこういいます。
「まるで芸術品のようだ」と。
かれがこの道に入ったのは、皮革という素材がもつセンシブルな魅力にとり憑かれた、15歳のとき。早熟です。

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「皮革が面白いのは、生きている素材だということ。ひとつとしておなじものはなく、製品づくりには皮革と対話しながら、ていねいに作業を進める繊細さが必要です。しかも、よい皮革は時間を経て、さらに魅力を増していきます。生育方法や環境によって、クオリティが大きく変わることもじつに興味深い」と話します。

1978年から7年間、フランスを代表する一流メゾンの特注品アトリエで研鑽を積み、素晴らしい素材や技術に触れるだけでなく、真のエレガンスとはなにかを学んだアモルソは、皮革という素材がもつ無限の可能性に惹き込まれていきます。

「この素材なら、なんでもつくれるという確信をもつことができました。また、マスマーケティングが主流の現代にあっても、メゾンの本質を大切にして、信念を曲げない姿勢を学んだのも大きかったと思います」

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その後、97年にパリのマレ地区に自身のアトリエ兼ブティックをオープン。そして、真に"特別"なものを求める顧客のために"皮革製品のビスポーク"を開始します。

「まずは対話ですね、ビスポークですから。注文主の嗜好や職業、使用頻度などを把握しながら、その製品のスタイルやフォルム、レザーの種類や色、留め具や裏地の素材まで、いっしょに決めていきます。私の顧客は、高級ブランドのロゴではなく、じぶんのためだけにつくられた特別な製品を求めている人たち。ひとつひとつの製品にはそれぞれのストーリーがあります。彼らはそうしたことも含めて私のところにやってくるのです」

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アモルソが注文主の人物像から着想を得てつくる製品は、どれも華やかでいて個性的。上質なカーフをはじめ、クロコダイルやガルーシャ、オーストリッチなどの希少な皮革を惜しげもなく使い、ハンドカットして、手縫いで製品に仕上げていきます。
しかし彼は、そうした高度な技術もあくまでも手段であり、腕を磨くのは"美しい作品をつくるため"だと語ります。

「日常生活のなかで常に感性を磨くように意識しています。歴史的建築物も好きでよく見に行きますが、建築様式などの細部ではなく、そこを訪れてまず美しいと感じられることが大切です。同様に、私がつくる作品も美しいと感じることができるかが重要であって、ディテールや技術的なことはその下支えに過ぎません」