Just In Case

Meet Designers Vol.2


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Image Collection The Brand “Botter”

「“ボッター"ってご存知ですか?”」
「いえ......、すみません」
「次のクリエイティブ ディレクターがやってるブランドなんです。ストリート系のメンズブランドのデザイナーで」
「はぁ......」
これは2018年冬、ニナ リッチのショールームでのリアルな会話。

デザイナーは男女のデュオ。
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男性は、Rushemy Botter(ルシェミー・ボッター)。オランダ・キュラソー島出身。
女性はLisi Herrebrugh(リジー・ヘレブラー)。実は多くの芸術家やスポーツ選手を生み出しているドミニカ共和国出身。
Right:Rushemy Botter / Left:Lisi Herrebrugh

彼ら自身が立ち上げ、今も継続するブランド、ボッターは2018年のLVMHヤングファッションデザイナープライズを受賞。その前にはイエール国際モードフェスティバルで大賞を受賞しています。かつてこの賞を受賞したのは現サンローランのクリエイティブディレクター、アンソニー・ヴァカレロやイギリスが生んだファッション界のレジェンドである今は亡きアレキサンダー・マックイーン、KENZO(ケンゾー)の新クリエイティブ ディレクター、フェリペ・オリヴィエラ・バティスタなど。

わたしは2003年以来、17年にわたりニナ リッチのコレクションを見続けてきました。そのイメージはデザイナーが変われど揺るぎなく、幸せを運ぶ「鳥」や「フラワー」の女性らしく優しいプリント、カラーはホワイトやピンク、ロイヤルブルーにオレンジなど明るいパステルの色使いが美しい素材や、いかにも繊細なレースなど......、まさに女性らしさの象徴。それらをベースに2003年に就任した若き天才、オリヴィエ・ティスケンスが作り出した儚げなフェアリーテール。リアルクローズに表現したピーター・コッピング。若い感性で構築的なジャケットとフェミニンをミックスしたギョーム・アンリ。
そこに来て、新デザイナーがメンズストリートブランドのディレクターと聞き、正直なところ「とうとうニナ リッチまでも巷のストリート旋風に迎合し、メゾンのエレガントさを捨て新世代に身を売るのか・・・・・・」と思いました。

ウィメンズファッション関係者は、メンズのボッターを知っていても(いや、知っていればなおさら)同じように困惑したか、老舗メゾン×新人ストリートデザイナーとはどんな戦略なのかと楽しんでいたか、そのどちらかではないかと思います。

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そして結果はと言うと、そのコレクションは言葉を失うほど美しく、堂々としていて、クラス感があり、とてもシックなものでした。
オーバーサイズのクラシックな帽子が印象的で「情景として美しい」と思いました。40ルックに展開されたそのコレクションには一枚の絵のように絞り込まれ、統一された世界観がありました。コレクションの中には時としていろんな要素がありすぎる場合や、リアルすぎて感動を呼ぶものではなかったり、あるいはあまりにリアリティとかけ離れ、哲学的になりすぎて見えるものもあります。
ニナ リッチはこの初コレクションで、静かに、そして大胆に、大人の女性が現代に 「装う」ということの大きなメッセージを投げかけたと思います。

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写真は初のコレクションとなる2019AWからのダイジェスト。 WWDジャパンにニナ リッチを要するファッションカンパニー、PUIG(プーチ)グループの代表、Jose Manuel Albesa氏のコメントが掲載されていましたが、まさに言い当てていると思います。

「ニナ リッチ」を擁するプーチ(PUIG)のホセ・マニュエル・アルベサ(Jose Manuel Albesa)=ブランド、マーケット&オペレーションズ・プレジデントは「2人は歴史あるフェミニンな『ニナ リッチ』にクールで現代的なエッジさを加えてくれるだろう。2人のブランドビジョンを反映したスケッチ画を見たが、これはエボリューション(進化)ではなくレボリューション(革命)だと感じた。2人のクリエイションはポエティックでプレイフルで大胆。カリビアン的感覚も持っている彼らはタイミング的にもこのブランドにぴったりだった」(WWD JAPANより)

そして、2020年春夏。
デジタルパイオニア世代といわれるミレニアル世代が成年期を迎え、さらに次なる世代と言われるデジタルネイティブ「GEN Z」の成長とともに、世の中は既成概念にとらわれない自由でプレイフルな世代のパワーに牽引されています。
かつては、ある種、商業的でもあったファッションの世界は、ここにきて個が牽引するようになり、“Fun” “Joy” "Love”そして“Happy”という本質に戻ってきています。 老舗メゾンの"ニナ リッチ"と、新世代ブランド"ボッター"の二人によるコラボレーションは、この時代に大きな布石を投げました。

それはつまり"ボッター"のような世界感を持ちながら、真に成熟しハイエンドのファッションに身を包むことができるラグジュアリーな大人の世界に入ったとき、どんな夢を持ち、どんな理想を掲げているのか、そのメッセージを初めて受け取ったような気がしました。

そして、彼らの「ラグジュアリー」を表すその世界観が、これまでと全く違うものではなく、むしろその延長にあったことをとても嬉しく思いました。 この春夏からストラスブルゴでは再びニナ リッチを展開します。 カリブ海に触れて育った若きデザイナーが、さまざまな古い障壁に負けず自由に、もっと自由に、楽しく美しい歌を歌いながら高い空に羽ばたいて、生命が共感するような美しいものを作り続けてくれることを楽しみに。

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Image Collection Nina Ricci Instagramより

お問い合わせ
justincase@lidea.jp

植原 ほの Hono Uehara
リデアカンパニー執行役員
ウィメンズエグゼクティブスーパーバイザー/ストラスブルゴ銀座店店長
ストラスブルゴの商品を世界中のコレクションや展示会からバイイング、そして来日したデザイナーとの商談やシーズンディレクションまでをおこなう傍ら、現在はストラスブルゴ銀座店の店長もつとめている。店頭にてお客さまとお話し、洋服を通じてハッピーの連鎖を生むことが何よりも楽しいと語る、生粋のストラスブルゴウーマン。

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植原 ほの Hono Uehara

リデアカンパニー執行役員
ウィメンズエグゼクティブスーパーバイザー/ストラスブルゴ銀座店店長

ストラスブルゴの商品を世界中のコレクションや展示会からバイイング、そして来日したデザイナーとの商談やシーズンディレクションまでをおこなう傍ら、現在はストラスブルゴ銀座店の店長もつとめている。店頭にてお客さまとお話し、洋服を通じてハッピーの連鎖を生むことが何よりも楽しいと語る、生粋のストラスブルゴウーマン。