EDWARD GREEN x UNION WORKS Vol.2 エドワード グリーンに宿る、目に見えない拘り

エドワード グリーン 銀座店店長の山西謙次が、シューリペア業界のパイオニアともいえるユニオンワークスの中川 一康(なかがわ ひろやす)氏を迎え、エドワード グリーンの魅力を語り尽くす連載企画。第2回目の今回は、なぜエドワード グリーンがここまで多くの人に支持されているのかを更に深く読み解きます。

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多くの紳士靴好きにとって、「憧れ」と称されることの多いエドワード グリーン。

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それは中川氏にとっても同じく、彼もまた「英国既成靴に於ける最高峰」と語ります。 「足を入れ、紐を結び、立ち上がるその瞬間、すっと背筋の伸びる感覚があります。それは、これ以上ない最高の靴に足を入れる喜びです」 そして、「素材、作り、木型のバリエーションに於いては世界でも最高の水準。軽さ、しなやかさ、見た目のスマートさは他のブランドに比べても圧倒的です。また、3年、5年、10年と履きこむほどに良くなっていく靴と言えるでしょう」

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そうして履きこむことによって、エドワード グリーンならではとも言える、足の全体が包み込まれるような感覚のフィット感が生まれるのです。

では、修理と言う観点からの中川氏の見解はいかがでしょうか。

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道具(左から):釘切り、ヒールはがし、皮切り包丁、プライヤー、マイナスドライバー

実際に私の靴を持ち込み、普段は目にすることのない、エドワード グリーンの真の凄さを中川氏に教えていただきたいと思います。

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この靴は、私の2足目のオーダー靴です。

1足目は内羽根を頼み、2足目は外羽根をと決めていました。私はデザイン的にどちらかと言うと人と違ったものを好む傾向があり、あまり見たことのなかったABERDEENのラスト888でオーダー。

そして、スペードソール仕様の色は、MIDNIGHT ANTIQUEという当時の新しい皮革を選びました。私の甲が高かったせいもあり、この外羽根の履き心地は非常に快適です。それゆえ登板回数も多くなり、今回で2回目のソール交換です。10年以上履いている非常に愛着のある1足です。

REPAIRING PROCESS

まずは、ヒールのパーツから外していきます。

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何層か剥がしていくと、ヒールを打ち付けた化粧釘が見えてきます。想像したよりも長い釘で、しっかりと打たれています。その整然と打ち込まれた釘の姿はブランドのアイコンとも呼べるほど、他にはない美しさを感じます。

多くのメーカーは、靴の内側から釘を打ち固定することが多いのですが、エドワード グリーンは昔ながらの方法を変えず、外側から内側に向けて釘を打ち、ヒールを取り付けています。

それは、ヒールを交換する際に靴にかける負担を少なくするためであり、まさに最高峰のブランドだから成し得る見えない部分の拘りと言えます。

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ヒールが取り外されると、アウトソールを外す工程に移ります。

ナイフが入れやすいように、マイナスドライバーで隙間を作っていきます。

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ナイフが入れられてからは、あっと言う間にアウトソールが外されます。

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接着剤もあまり多くは使われていないため、アウトソールも簡単に外れます。余分なものは極力使わないという姿勢にも感心させられます。

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店頭でお客さまに靴の中の構造までご覧いただくことはできず、我々もなかなか見る機会はありませんが、これまで多くのお客さまに履き心地のご納得をいただいてきた理由が分かりました。
まさに、履いて、履いて、履き続けていかなければ分からない良さだと思います。

その後、アウトソールを外しコルクを除くと更にエドワード グリーンの凄さが分かります。その整然とした作りは、美しくさえあります。

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中のコルクは、基本的に再利用しているそうです。もちろん、コルクが無い箇所については、しっかり充填されますのでご安心ください。

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そして、エドワード グリーン最大の特長と言えるのが、吊り込みの際のステッチとアウトソールを縫い付ける際のステッチが絡み合っていない点です。(画像の白いステッチと黒ステッチ)

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エドワード グリーンを含むいくつかのメーカーは靴を細く見せるため、ウェルト部分を削ることで縫い代部分を細くしていきます。その結果、多くのブランドはアウトソールを縫い付ける際の糸が絡み合ってしまうそうです。

そうなると修理をする際、絡み合った糸を切らなければならないそうですが、エドワード グリーンは今まで1足たりとも糸が絡んだものは無かったそうです。 本当にただの1足もなかったと中川氏は語ります。

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修理がしやすいということも、長く履く上で非常に大切な要素なのです。修理とは現状復帰ももちろんことですが、その中でブランドが持つ意思のようなものを汲み取っていかなくてはならない、実は非常に難しい作業。

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他のブランドと同様にウェルトを削り、限りなくシャープなシルエットを実現しているにも関わらず、中の構造は極めて整然としていて修理がしやすい。 その視点からもエドワード グリーンというブランドの持つ優位性が伺えます。

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決して目に見えないながらも、靴としての完成度の高さを物語る重要な箇所。 エドワード グリーンがなぜ、長きにわたり靴好きに愛され続けるのかがまた少し分かった気がします。

目に見えないところにも愚直なまでに拘り、伝統的な手法を守りながら靴を作り続けるエドワード グリーンを履き続けることで分かる価値がここにあるのです。

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