日本一の靴磨き職人 石見 豪(いしみ ごう)氏 インタビュー

大阪の靴磨き専門店、「THE WAY THINGS GO(ザ ウェイ シングス ゴー)」のオーナーでもあり、靴磨き日本選手権大会で優勝した経験を持つ、石見 豪氏。同氏に、普段はなかなか垣間見ることのない、靴磨き職人の世界や、靴磨きの魅力についてを語っていただきました。

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2018年1月、銀座三越店で開催された、「靴磨き日本選手権大会」。靴磨きを仕事とする、プロのシューシャイナー12名によってその技を競い合った同大会で、優勝に輝いた石見 豪氏は、約6年にわたる靴磨きのキャリアのなか、手掛けた靴の数は実に3万足を超えるそうです。

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石見 豪氏

そんな石見氏は、2015年に靴磨き専門店である「THE WAY THINGS GO(ザ ウェイ シングス ゴー)」を立ち上げ、オーナー兼靴磨き職人として活動をしています。

同店が入るのは、大阪市中央区に位置する船場ビルディング。大正14年に竣工され、現在に至るまで、数々の自然災害も耐え抜き、当時の雰囲気を漂わせたまま、ほぼ竣工当時の姿をとどめる、登録有形文化財指定建物です。ステンドグラスや中庭のパティオから大正時代のレトロな雰囲気を感じ取ることができます。

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船場ビルディング内に、店舗を構えるザ ウェイ シングス ゴー

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店内では、クラシックな雰囲気が漂うカウンター越しに靴磨きが行われます。

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洗練されたギャラリーのような空間の店内

10月21日(日)に開催される靴磨き講習会の会場である、ストラスブルゴ 南青山店3階 ハウステイラーズラボにて、石見氏へインタビューを行いました。同氏が語る靴磨き職人の世界や、靴磨きの魅力をご紹介します。

INTERVIEW

ーー靴に興味を持ったきっかけはなんですか?また、なぜ靴作りの職人ではなく、靴磨き職人を志したのですか?

そもそも靴職人も靴磨き職人も考えていなかったのですが、転職を考えていた時にたまたま見たネットニュースで関西に初めて靴磨きの専門店が出来たことを知りました。お店を訪問して、この商売なら一番になれるかも知れないと感じて、スタートしました。


ーー靴磨きの技術はどこで修得したのですか?

全て独学です。自分の靴や友人の靴など50足ほどでの実験や路上での靴磨きを並行して行い、技術を磨きました。出張靴磨きをスタートしてからは、顧客さまが大幅に増え、3年間で2万足以上のオーダーをいただけるようになり、その経験から技術力は大幅に向上しました。


ーー出張靴磨きをスタートしたきっかけはなんですか?

路上での靴磨きをしていた時代に、ある経営者の方に同じ条件で路面店舗を出す場合、イニシャルとランニングコストがいくらかかるか分かっていて無断で路上靴磨きをしているのか?と聞かれたことがきっかけで、当時出張のみで営業している靴磨き店が無かったのと、誰にも迷惑をかけない営業形態だった為、スタートすることになりました。

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ーー靴磨き日本選手権大会に出場しようと思ったきっかけは?

出場しなかったとき、当店の顧客さまから "もし出ていたら優勝してたんじゃないの?"と言われるだろうなと思い、そのときにまんざらでもない顔をしてしまうであろう自分を想像すると本当に情けなく、格好悪いなと思いましたので、負けないように準備をして出場しました。


ーー結果、見事に優勝されたわけですが、今後は何を目指していきたいですか?

目指すものは特に決めていないです。今までも中間目標は立てましたが、最終的にこうなりたいという目標は立てずに来ました。実は、自身の靴磨きの方法もこれまで4度変わっています。それは出来上がったと決めずに、常に更に良い方法がないか?と最高を目指した結果、より良い方法が見つかったからです。全力で目の前のことに一生懸命取り組み、長くて5年しかイメージができないので、その範囲で目標を立て成長していきたいです。


ーー「THE WAY THINGS GO」で今年4月に立ち上げた「KINKOU」のブラシについて詳しく教えてください。また、オリジナルのブラシを作ろうと思ったきっかけはなんですか?

格好良いブラシがないと感じていたことと、デザイン性に富んだ商品を作れば、さまざまな方にブラシを通して、靴磨きを知ってもらうきっかけになると思いスタートしました。
例えば、ブラシ本体の見た目にごだわって、普段下駄箱にしまいがちなブラシがインテリアにもなるように意識しました。また、ブラシの毛の種類(動物)によってパッケージや取り扱い説明書もそれぞれ自らデザインし、お客さまに喜んでいただけるよう工夫をしました。

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ーー石見氏にとって靴磨きの魅力とは?

靴磨きもこだわりをもって提供すると、エンターテイメントとして成立します。磨きはじめから終わりまで、見て楽しんでいただき、最後には感動していただけます。そういった側面と、単純に美しく磨きあげた靴を履くと、一日が明るく気分も良くなる方が多いそうで、そういったことも本質的な魅力の一つだと思います。


ーー今後、靴磨き以外にチャレンジしてみたいことはありますか?

靴磨き用にユニフォーム(スーツ)を作成し、当店のスタッフが着ているのですが、作業に支障が出ないように一日腕を動かし続けても疲れないスーツになっています。フルハンドメイドなんですが、デザインもコストパフォーマンスも非常に良いと自負しております。お客さまからの購入のリクエストがあまりに多いため、今後は衣類の販売にもチャレンジしたいと考えています。

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ーープロではない私たちでも簡単にできる靴のお手入れ方法を教えてください。

コバが退色していると与える印象が大幅に変わるため、簡単に油性クリームかワックスで捕色することをおすすめしています。また、コバインキは硬化すると削り落とす必要があるため、おすすめしていません。クリームなら同時にアッパーケアも行えます。

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石見氏が手掛ける靴は、ただ磨くだけではなく、靴についた汚れをしっかりと落とした上で仕上げているため、中にはその状態が3~6か月も続くと絶賛されるお客さまもいるそうです。

現在、靴磨きの出張以外にも女性向けのイベントや講習会を定期的に開催している、ザ ウェイ シングス ゴー。様々なイベントを通してより多くの人々に靴磨きの文化や魅力を発信しています。

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靴のお手入れ方法


デモンストレーションの様子をまとめた動画をぜひご覧ください。




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布の拭く面を変えながら、靴の表面のコーティングを落とします。

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コーティングを落とした状態

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馬の毛のブラシで汚れを落とす様子

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指でワックスを塗る

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一度に取るワックスの量

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指でワックスを何層にもむらなく塗り込む

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一通り塗り込んだあとの様子

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水を使って光らせる

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最終仕上げの様子

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磨き上げられた靴

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