リラックスしながらも弛緩はしない
新しいリゾートスタイルのすゝめ
毎日多忙を極め、"最前線"での緊張を強いられている現代のエスタブリッシュメントたち。そんな人々にとって、束の間の休息に訪れる南国のビーチ、あるいはリュクスなハイダウェイでのゆったりとした時間は、かけがえのないものです。しかし日頃の抑圧から解放される非日常感と人目の少なさから、ついつい過剰にリラックス、つまりは弛緩しただらしのないスタイルになってしまうことも多々あるので要注意。心身ともにリラクシングなものでありながらも、洗練された紳士のエレガンスが共存する───そんな新しいリゾートスタイルをおすすめします。
Style 1
レイヤリングで魅せるカプリシャツ
大人のリゾートスタイルにおいて最も重要なのは、衿。そして首周りのアクセントです。カットソー1枚でイージーに済ませるのではなく、衿付きのシャツやスカーフの一巻きなどによって、首周りへの気遣いを感じさせるのがポイントといえるでしょう。そこでまずおすすめしたいのが、イタリア・ナポリのカミチェリア＜チリエッロ＞らしさを存分に感じさせてくれるプルオーバータイプのスキッパーカラーシャツ、その名もカプリシャツです。
一般的なボタンホールではなく、ループ留めの1ボタンを採用した襟元がイタリアらしく大人っぽいヌケ感を演出。ややゆとりのあるフィット、裾に深いスリットが入ったボクシーなカッティング、そしてラウンドカフスの袖口が柔らかなニュアンスを醸し、バサッとラフにかぶるだけでさまになる、存在感たっぷりな1枚です。昔ながらの手縫いと精緻なミシンワークにこだわった、"ナポリシャツ"ならではの着心地をご堪能いただけます。
インナーには、上質なハイゲージのコットンニットで仕立てた＜マック ジョージ＞のヘンリーネックシャツをチョイス。アンダーウェアでありながら上品で高級感漂う前開きのディテールが、立体感のあるレイヤードスタイルのポイントに。そしてアクセントとして文字通りの"花"と華を添えるのが、＜キートン＞のシルク製ポケットチーフ。胸元のポケットに挿すだけではない、チーフのエレガントな活用法としてぜひ取り入れていただきたいテクニックです。
＜セラードア＞のチョークストライプ柄イージートラウザーズに、＜サントーニ＞独自の特許技術「グッドイヤー レベルソ」製法で堅牢かつ軽やかに仕立てた「ANDREA」という、完璧なエレガンスと快適さの共存するボトムスにもご注目ください。
- Shirt / CIRIELLO ¥45,100
- Knit / MC GEORGE ¥71,500
- Chief / KITON ¥27,500
- Pants / CELLAR DOOR ¥63,800
＊スタッフにお問い合わせください。 - Shoes / SANTONI ¥167,200
Style 2
大人なグリーンのコントラスト
大人として、いかに上品にショーツを着こなすか───これもリゾートスタイルにおいて避けることのできない至上命題のひとつですが、そのヒントがここにあります。シャツの衿や首周りの演出を意識しながら、以下2例のケーススタディを見ていきましょう。
まずショーツの丈の長短には、いくばくかのトレンド感が存在します。しかし、日常的に晒すことのない素肌のボリュームを気にするかどうかはさておき、常に膝〜膝上丈くらいのバミューダタイプを選ぶというのが、節度のある紳士にとってのスマートな選択。なかでもおすすめは、パンツ専業メーカーの先駆者＜ピーティー トリノ＞のブラックバミューダです。
全体のシルエットはシャープで、腰回りもすっきりコンパクト。モダンで洗練されたイメージとなっているため衿付きのシャツはもちろんTシャツやポロシャツとも合わせやすく、スポーティなカジュアルさと上品さを兼ね備えた佇まいです。素材はセルロース、リネン、コットンという三者混。サラッと清涼な肌触り、ざっくりとした小気味いい風合いがリゾートにもぴったりです。
バミューダショーツの軽やかさと爽快感を落ち着かせ、引き締めてくれるのが、アーシーなグリーン系でまとめたリネンシャツとメッシュベストというレイヤード。そしてスカーフのように巻いたセッテピエゲのウールタイというコンビネーションです。
リネンシャツは、イタリアブランド＜テラジェノバ＞による熟練の職人技が光る1枚。リネンシャンブレー生地の清涼なタッチを活かしつつ、ダブルフラップポケットのワークテイストに仕上げているのがポイントです。メッシュベストは、日本のものづくりの魅力を再認識させてくれる＜コーヘン＞の新作。独特なニュアンスのローゲージ、かつ丸みを帯びたゆったりシルエットに編み上げることで、リラックス感あふれる絶妙な着心地とルックスを実現。シャツやカットソーとのレイヤードも自由自在で、ありきたりなリゾートスタイルとは一線を画す、新しいリゾートスタイルにハマる逸品です。
シャツの衿を立たせ、＜セブンフォールド＞のブラックに近いグリーンのウールヘリンボーンタイをスカーフ感覚でひと巻きすれば、個性際立つ、風格たっぷりでナチュラルな新リゾートスタイルが完成します。
- Knit Vest / COOHEM ¥24,200
- Shirt / TELA GENOVA ¥42,900
- Tie / SEVEN FOLD ¥37,400
- Belt / MAISON OCTOPUSY ¥35,200
- Shorts / PT TORINO ¥35,200
- Sandals / F.LLI GIACOMETTI ¥123,200
＊スタッフにお問い合わせください。
Style 3
刺激的なスパイスを効かせて
涼やかなショーツをエレガントに取り入れるなら、あえて全身をダークトーンに、しかもブラックやネイビーではなくブラウン系でまとめることで、シックに、クールに仕上げるというのもおすすめです。 鍵となるのは、日本らしい"幽玄"な美意識を追求する＜ユーゲン＞のロングシャツ。ジャカード織りのストライプがクラシカルで気品たっぷりな表情を生み、凛々しいバンドカラーが禅の世界にも通じるムードを演出します。ほどよくゆとりのあるシルエットによって、リラクシングな優しい着心地に。サイドスリット入りの裾はラウンドカットで柔らかな印象となり、気品漂うブラウンカラーが、"大人のリゾートスタイル"に完璧にフィットします。 インナーには、＜クルチアーニ＞の半袖ニットポロシャツとボーダークルーニットをレイヤード。どちらも艷やかなコットンをハイゲージで緻密に編み上げ、ニットポロはボディと同色のボタンを使用。クルーニットはさりげないナローなボーダー柄に洗練された大人の余裕を感じさせ、至高のニットブランドならではのこだわりが凝縮されています。 そして＜エスオー＞のバミューダショーツも、よく見ればダークブラウン。さらりと軽やかなウール製シアサッカー生地を使用し、キレのいいワンタックに。裾に向かってしなやかに絞り込まれたシルエットが、エレガントなレッグラインを描きます。＜サントーニ＞のレザーサンダル「DUO」を、ラグジュアリーな"スライド"感覚で履くというのも一興です。 仕上げに効かせるスパイスは、ロングシャツのウエストマークとして腰巻きした＜セブンフォールド＞のシルクストールです。オリエンタル調のペイズリー柄と、インパクトのあるポルカドットという絶妙なコンビネーション。最高級の素材、熟練の手仕事による工芸品のごとき1枚が、ダークブラウンをベースとした控えめな着こなしを、洒脱で特別感のあるリゾートスタイルへと昇華してくれるのです。
