VOL.3 
WINTER LEATHER JACKET
VOL.1
RICH CORDS

カジュアルだけど品が良い
リッチでスマートなコーデュロイ

春夏には春夏らしい、秋冬には秋冬らしいテキスタイルやマテリアルというものが、確かに存在します。たとえば今季の最重要トレンド素材でもある、コーデュロイ。光沢のあるベルベットと似た織物で、特徴的なタテ畝組織がたっぷりと空気を孕み、保温性ばっちり。その起毛感から見た目にも温かみが感じられるコーデュロイ素材をスタイリングに取り入れるだけで、秋の訪れ、秋冬らしい季節感を十二分に表現できます。ニットウェアや、レザーアイテムとの相性抜群。畝の太さや色使いなど、多種多様な選択肢が揃う2024年の秋冬シーズンは、このリッチでスマートなコーデュロイ使いから始めてみてはいかがでしょうか。

スタイル 1
スタイル 1

Style 1

デニムセットアップ感覚で着る
ブルーコーデュロイのこなし方

まずはご存知、ナポリ最大級の工場をもつ<キートン>グループの<サルトリオ>から。
ややゆとりのある今日的なフィッテイングのトラウザーズに合わせ、小さな見返しに腰裏パッチポケットという仕様で2022年秋冬シーズンに登場した、<サルトリオ>の「IZ」モデル。その派生モデルとして登場したこの「IZG」モデルは、大見返し仕様で身頃の表裏にポケットが付属した、軽快かつ機能的なジャケットがポイントです。
ヴィンテージを現代的にアレンジした最上質素材に定評のある<サルトリオ>らしく、この細畝コーデュロイ素材もワンウォッシュされたインディゴデニムのような鮮やかさ、自然な色落ち感が見事に表現されている点に注目。だからこそ、肩掛けデニムジャケット、あるいはデニムジャケットとのレイヤードという挑戦的なスタイルが難なく成立するのです。
ハンドとマシーンを合理的に併用した、立体的なテーラリングの美しさは言わずもがな。ゆえに、ヴィンテージ感のある色味やカジュアルなテクスチャーでありながら、非常にクリーンでエレガントな佇まいに仕上がっています。またスポーティーでスマートなサイドベンツが、丸みを帯びた美しいテーパードシルエットのトラウザーズとの完璧なバランスを描き出します。
インナーには、<テラ ジェノヴァ>のウエスタンシャツに<セブン フォールド>のセッテピエゲ フラワー柄タイを合わせて。あえてのタイドアップがカジュアルスタイルに心地よい緊張感をもたらし、またウエスタンシャツとバティック柄のプリントタイというドレッシー過ぎないマッチングが、絶妙なヌケ感を演出してくれます。

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Style 2

コーデュロイだからこそ際立つ
奥行きたっぷりトーナルコーデ

続いてご紹介するのは、<ストラスブルゴ>が自信をもってご提案する、しなやかなストレッチ素材のテーラードジャケットです。
世界各国のさまざまな珠玉のプロダクトを集積し、その魅力をお伝えすると同時に知見を磨いてきたスペシャリティストア「ストラスブルゴ」。そんな私たちが、安易に"ブランド"に頼ることのない本質的な価値追求を目指し、日本ならではの独自のものづくりを行うオリジナルレーベル───それが<ストラスブルゴ>です。
「長く愛せるシンプルかつオーセンティックなデザイン」がコンセプトの<ストラスブルゴ>だけに、フィット感と着心地のよさにこだわったタイムレスなジャケットとして、仕様は段返りの3つボタン、素材はストレッチを効かせたコットンコーデュロイという王道かつ旬度の高い組み合わせを選択しました。ゴージラインをやや低めに設定したデザインで、ウエスト周りには程よいリラックス感をもたせているのが特徴です。
マーブルボタンを採用し、ややカントリー風味に仕上げたバーガンディのコーデュロイジャケットに対し、ボトムスには<エスオー>の同系色1タックトラウザーズ、インナーには<クルチアーニ>によるハイゲージのパープルカシミアニットを合わせました。ブラウン系のトーナルなセットアップに鮮やかなパープルのセーターが華やぎを添え、<クルチアーニ>のカシミヤ フリンジストールを2枚使いという遊び心で華麗に締めくくります。この軽めの巻物を2枚使いするというテクニックは、重くなりがちな秋冬の着こなしにほどよい色彩のコントラストと立体感をもたらしてくれるので、大変おすすめです。

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Style 3

軽妙洒脱なマルチレイヤードは
鮮やかなコーデュロイパンツが鍵

最後にご紹介するのは、はじめに取り上げた<サルトリオ>のブルーコーデュロイスーツと同じ、「IZG」モデルのコーデュロイスーツ。そしてそのジャケットを、単品使用しているコーディネートです。しかしこのスタイリングの主役は、<エスオー>のコーデュロイ トラウザーズであるといっても過言ではないかもしれません。それほど鮮やかでありながら上品な発色のライトベージュは印象的で、夏とから秋へという季節の"つなぎ"役としても、また色味が落ち着きすぎてしまいがちなシーズンのアクセントとしても、非常に効果的なのです。
<サルトリオ>のコーデュロイジャケット(スーツ)は、同じ「IZG」モデルですが先のブルーのものと比べ、より肉厚でふっくらとした太畝コーデュロイ生地を採用しています。繊細で都会的な印象のこのベージュと、よりシックで落ち着いた印象のブラウンという2色展開。ゆとりがありつつウエストはほどよくシェイプされており、サイドベンツの採用で快適性を高めると同時に着こなしやすさにもしっかり配慮がなされています。
本来のスーツの組下は、洗練されたスマートなレッグラインを描き出すテーパードトラウザーズ。ですが、あえて日本を代表するパンツ職人である尾作隼人(おさくはやと)氏が手掛ける、<エスオー>のワンタックトラウザーズを合わせたジャケパンスタイルへとアレンジしています。美しいシルエットは両者ともに共通していますが、トーンアップした<エスオー>のベージュパンツはペールイエローとも見紛う鮮やかさ。全体のスタイリングを軽やかに"トーンアップ"すると同時に、よりアクティブな雰囲気に仕上げてくれます。
シャツをタイドアップしたうえで、<ストラスブルゴ>のニットポロをレイヤード。コンパクトな"Vゾーン"を創り出したうえで、裾はタックインしているので一見複雑なマルチレイヤードもすっきりと魅せることに成功しています。茶系のライトトーンを織り重ねながら、中心にあるネクタイのみダークな<セブンフォールド>のペイズリー柄にすることで、キリッと引き締まって見えるのです。

Photographs by Mai Kise
Hair by hirokazu endo (ota office)
Styling by Taichi Sumura
Model by Etienne (EXILES)
Edit & Text by america
Cooperation by 08book