VOL.2 
Light Outer

ふわっとソフトに軽やかに
優しい温もりに包まれる羽衣アウター

遅ればせながら、ゆっくりと。清々しく冷涼な朝晩の空気に秋を感じ、羽織りものが手放せない時期がやってきました。選択肢が豊富で自由度も高く、奥行きのある立体的なコーディネートを満喫できるこの気候は、すべての服飾愛好家が待ち望んでいたであろう、おしゃれのゴールデンタイムです。ヘビーでボリューム感たっぷりな、機能性重視の防寒アイテムはまだ不要。軽妙にして洒脱、瀟洒にして流麗な"羽衣"のごときアウターを手に入れ、ほどよいウォーム感とエレガントな佇まいをスマートに演出する。そんな、いま、この季節に最適のアウトフィットを満喫しておくのが大正解なのです。

スタイル 1
スタイル 1

Style 1

ソフトな着心地と端正なルックスが
完璧に融合した万能ジャケット

<マンゾーニ24>といえば、イタリア・ミラノのマンゾーニ通り24番地にショップを構え、卓越した職人技術と斬新なアイデアを兼ね備えたものづくりを行う大人気ブランド。その新作コレクションに、おすすめの1着があります。
ウール70%、カシミヤ30%という"黄金比"でブレンドされた、最上質のロロ・ピアーナ社製ファブリックを駆使したこのショート丈のカーコートは、ダブルフェイスの生地をあえてのノーライニングで仕上げたソフトな着用感、そして重さをまったく感じさせない軽やかな仕立てが最大の魅力。大きめの2パッチポケットにマーブルボタンというカジュアルなデザインですが、キリッと端正なラインが程よい緊張感とドレス感、都会的なイメージを演出しています。オフホワイトにも見える、洗練されたライトベージュの醸すエレガンスを最大限に活かすため、全身を明るくミルキーなトーンでまとめているのがポイントです。
インナーに合わせたモックネックのセーターは、ニットウェアの最高峰ブランド<クルチアーニ>のもの。極上のウールを優しく丁寧に編み上げ、気品と温もりが感じられる1枚です。身体に心地よくフィットするやや細身のシルエットで、絶妙な高さに設定されたモックネックがあらゆる着こなしに対応。シャツとの重ね着、スカーフのひと巻きといった襟周りの小技とも、相性抜群です。
生成りのウールにベージュのペンシルストライプをあしらった、<エスオー>のツータックトラウザーズも必見です。アジャスターベルトを採用したベルトレスタイプの「クラシックフィット」は、コンパクトな腰回りにゆとりをもたせたワタリ、そこから裾に向かってギュッと絞り込んだ美しいテーパードシルエット。クラシカルなムードと穿き心地の良さをバランスよく両立し、上品なリラックス感と秋らしさをスマートに表現してくれる名品です。

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Style 2

大きめでしなやかなフードがあれば
気品漂うコートはさらに輝く

今季の<マンゾーニ24>には、まだまだおすすめしたいユニークなアウターがあります。それが、前出のカーコートと共通するロロ・ピアーナ社製のダブルフェイス ウールカシミヤ生地を使用した、このフーデッドコートです。
大きめのフードを備えた膝上丈のコートというデザインは、旧き良きワークウェアであるダッフルコートを思わせるもの。しかしきめ細かくしなやかなファブリックは極めて上品かつ都会的で、今日的なドロップショルダーが描くリラクシングなフォルムは、どこか中性的で抜群にスタイリッシュです。フードをかぶれば、ドレスとカジュアルが融け合う唯一無二の佇まいに。フードをかぶらず襟を寝かせれば、ガウンのようなラグジュアリー感とありそうでなかった"バックシャン"が手に入ります。エレガントなキャメルカラーは着回しやすく、柔らかく軽快な仕立てによりレイヤードも自由自在。タイドアップしたシャツにカーディガンという格上げカジュアルスタイルを、完成させてくれる1着です。
<クルチアーニ>のカーディガンは、渋みのあるピンクカラーとハイネックがポイント。ボタンの留め方次第でハイネックにしたり、Vゾーンをつくったりできるから、アレンジ次第でさまざまな着こなしが楽しめます。派手すぎず、地味すぎずの大人っぽいアクセントカラーが、インナーとして着用しても威力を発揮してくれます。
昔ながらの手縫いと細やかなミシンワークにこだわった<チリエッロ>のストライプシャツには、<セブンフォールド>のボールドストライプ柄ネクタイ。そして美しいブルーの発色が目を引く<エスオー>のツープリーツパンツを合わせつつ、<サントーニ>のブラックスエードローファーで足元はきっちり引き締める。
メリハリの効いた色使いが、秋のコートスタイルをさらに魅力的なものにしてくれるのです。

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Style 3

大胆さと静謐さを兼ね備える
クールなグレーのベルテッドコート

最後にご紹介するのも、<マンゾーニ24>の最新コレクションからピックアップした1着。やはり今季も、<マンゾーニ24>は外すことのできない最重要ブランドのひとつと考えて間違いありません。
たっぷりと空気を含んでいるかのように肉厚で柔らかい、上質なウールカシミア生地で仕立てられたミディアムレングスのベルテッドコート。この秋必携の1着となりそうな、この圧倒的存在感にご注目ください。ボリュームたっぷりのワイドラペルは、小顔効果を発揮してくれそうなほどに堂々としたもの。後ろ裾には深く切り込んだセンターベントを設けているため、ウエストをギュッとタイトに絞っても動きやすさを損なうことはありません。またボタンなどのディテールを削ぎ落とし、ベルトには共地のファブリックを使用。だから進化した現代的なクラシックとでも呼びたくなるその佇まいが、どこまでもミニマルに感じられるのです。ラグジュアリーでありながらスポーティで、コンクリートのようなライトグレーも印象的。まさに傑作です。
この軽やかなライトグレーを引き立てるには、ダークなトーンでまとめたコーディネートがおすすめ。<テラ・ジェノバ>のブラックデニム製ウェスタンシャツに<マンゾーニ24>のバーシティジャケットをレイヤードしたインナーは、<セブンフォールド>のドット柄セッテピエゲ タイで立体感をもたせつつ華麗にカジュアルアップ。ダークブラウンに小粋なボールドストライプをあしらった<エスオー>のストライプパンツには、<エドワード グリーン>のブラック コインローファーという"王道"を合わせる。華やかなれど地に足の着いた、季節を感じるスタイルに仕上がります。

Photographs by Mai Kise
Hair by hirokazu endo (ota office)
Styling by Taichi Sumura
Model by Etienne (EXILES)
Edit & Text by america
Cooperation by 08book