VOL.3
SANTONI

名作シューズを起点に構築する
この冬おすすめの最旬ルック 〜サントーニ編〜

「今日(あるいは明日?)、どんなコーディネートで出掛けようか?」───これはきっと、ファッションを愛する誰もが抱える日常的な"お悩み"のはず。コートから、ジャケットから、あるいはトラウザーズからと、コーディネートの起点となるキーアイテムや着こなしのアイデアは、まさに人ぞれぞれ。しかし私たちはいま、「おしゃれは足元から」という古典的かつ使い古されたお題目に、改めて注目しています。古典的とはつまり、時代を超えて受け継がれているということ。そして本質を突いているからこそ長く、多くの人々が語り継いできているのです。イタリア・マルケ州の皮革産業の歴史を背景とした、伝統と革新を融合したクラフツマンシップを誇る<サントーニ>の傑作シューズは、その存在感を品よく最大化する色合わせにこだわってみました。

スタイル 1
スタイル 1

Style 1

メリハリの効いた配色とボリューム
リラックスして味わうエレガンス

軽やかで洗練されたイメージのイタリア靴を代表するブランド<サントーニ>らしい、高い職人技術と芸術性の融合が感じられるコインローファー「FOLD」は、クラシカルな英国靴にも通ずる端正な面構えのアッパーに、ラギッドなラバーソールというモダンなコンビネーションが秀逸。高品質なスエードは、ブラックと思わせて実はダークブルーという、シックかつツイストの効いた色使いです。スニーカーのような気軽さで、心地よくスタイリッシュに履けるレザーシューズとして人気のスリッポンですが、この優美で繊細なシルエットとスポーティなアウトソールとの華麗なる共存を活かすには、ボリューム感たっぷりでリラックスしたコーディネートがおすすめ。
トラウザーズは、ミリタリーのマリンパンツをベースに<ユーゲン>らしいエレガンスをまとわせた、流麗なワイドシルエットのウールパンツ。軽やかなテクスチャーと美しい落ち感が、凛とした「FOLD」の佇まいとの鮮やかなコントラストを描き出します。この完璧なバランスを活かしながら、ラグジュアリーなムードとしっかりとした防寒性を確保してくれる、<クルチアーニ>のムートンハーフコートはこの冬必携の1着でしょう。しっとりとしたマットな表情は、スエードの「FOLD」と相性抜群。ゴージャスなファーもいたってさりげなく、高級感をいたずらにアピールすることがない上品さも見逃せません。
ブラウン系でまとめたコーディネートに気品漂う華やかさを添えるのは、ラベンダーのような落ち着いたピンクのハイネックセーター。そしてより深いパープルのタートルネックセーターというニットウェア同士の重ね着です。ともに<クルチアーニ>による最高の素材、パターンだからこそ愉しめる、究極のグラデーションレイヤードといえるでしょう。

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Style 2

パティーヌ美をブラックで引き立て
華やかなジャケットスタイルに

軽く、柔らかく、カジュアルでストレスのないファッションばかりがもてはやされた頃、巷ではその象徴ともいうべきスニーカーが大ブームとなりました。必然的に重厚で堅牢、履き慣らしの期間を要する本格派レザーシューズは敬遠され、気づけば"ぬるま湯"に慣れ弛緩しきった足に、我ながら驚いたという方も少なくないかもしれません。そんな足元のリハビリにぴったりのシューズとして人気を博しているのが、サイドゴアブーツです。シューレースを結ぶ手間もなく、着脱はいたって簡単。それでいてクールでスタイリッシュな佇まいが手に入るというのですから、スリッポン同様に多くの方が革靴回帰のための1足として選ぶというのも納得です。さらに<サントーニ>独自のグッドイヤー・レベルソ製法を採用した「EMORY」は、堅牢さとしなやかさ、安定感と返りの良さ、ソール交換可能なロングライフ性まで兼ね備えているパーフェクトな選択肢なのです。
「EMORY」の魅力は、履き心地やつくりの良さばかりではありません。上品な光沢と美しいパティーヌが堪能できるアッパーは、実に表情豊かで味わい十分。やや丸みを帯びたシルエットは汎用性が高く、スーツにもジーンズにも、ワイドパンツにも細身のパンツにも合う絶妙なボリューム感が印象的です。ストレッチの効いた細身のブラックデニムを合わせれば、そのフォルムとパティーヌによる美しいグラデーションがさらに際立ちます。
<サルトリオ>によるボルドーカラーのストライプジャケットに合わせるのは、<フライ>のストライプシャツとチーフに<キートン>の大柄千鳥格子のシルクタイ。ボトムスはカジュアルなジーンズですが、トップスは大胆な色柄を駆使したタイドアップのジャケットスタイルとすることで、凛々しさと華やかさをプラスしエレガントに仕上げています。

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Style 3

かすかな表情が粋と気品を醸す
大人の白スニはマルチカラーで攻略

ファッションのカジュアル化とスニーカーの大ブームが残した影響は、悪いことばかりではありません。<サントーニ>のレザースニーカー「VICTORY」は、本格派の革靴メーカーがその技術の粋を結集させ生み出し、スポーツブランドには決して手に入れられないデザイン性の高さと極上の履き心地、ラグジュアリーなムードを融合させた奇跡の1足。カジュアルブームなくしては、生まれることのなかった名品かもしれないのです。
そんな「VICTORY」は、アッパーからシューレースを排したミニマルな意匠が最大の特徴。クリーンなホワイトとクールなブラックという2色を展開し、週末のカジュアルスタイルを小粋にアップデートしてくれるスリッポンタイプのスニーカーです。さりげないニュアンスを表現してくれるタンブルレザー(シボ革)を使用しており、ピュアホワイトでもツルっとしすぎず、コーディネートに自馴染みやすいのも魅力。ライニングやヒールループにあしらったタンカラーが、ほどよいアクセントとして効果を発揮してくれます。
履き心地はもちろん、見た目にも軽快なホワイトの「VICTORY」は、やや重厚でボリューム感のあるコートスタイルも軽やかに魅せてくれます。オリーブグリーンのトレンチコートは、ヨーロッパの日常着を思わせるストイックなコレクションに定評のある<エス>で、大人気の定番モデル。ゆとりのあるラグランスリーブゆえにさまざまな体型にフィットし、レイヤードも自由自在。インナーにゆったりとした<コーヘン>のローゲージニットブルゾン、肉厚な<デルルビー>のカシミヤマフラーを仕込んでも、すっきりスリムなシルエットが手に入ります。またこのタイプライター生地には撥水加工が施されており、レインコートとしても機能するのも見逃せません。
ニットブルゾンにはカラフルなネップが散りばめられ、大柄のマフラーは美しい配色のカラーブロッキング。そして<ロータ>のパンツは、今季のトレンド素材であるコーデュロイをネイビーで取り入れました。「VICTORY」のホワイトとリンクするマルチカラーを駆使しつつも、ミリタリーニュアンスのコートで引き締めることによりハッピーになりすぎない───この絶妙なカラーバランス、必見です。

Photographs by Mai Kise
Hair by Yusuke Morioka (eight peace)
Styling by Taichi Sumura
Model by Etienne (EXILES)
Edit & Text by america
Cooperation by 08book