"初夏アウター"選びの基準は
さらっと軽やかな着心地だけでいい
夏にアウターなんて着たくない───これは日本に暮らす誰もが抱えている、偽らざる本心でしょう。つい油断するとシャツやTシャツメインのシンプルな着こなしになってしまう季節だからこそ、意識的に"上着"を取り入れた上品なレイヤードスタイルを、涼やかに、心地よく愉しみたいものです。そこで今回は、抜群に軽やかで肌触りもスムースな、決して暑苦しく見えない&ならない傑作"初夏アウター"3選をピックアップ。おすすめのスタイリングサンプルとともに、ご紹介いたします。


Style 1
<スヴェーヴォ>を手に入れる
最もリラックスした場面で着たいアウターのひとつとして挙げられる、ジップフロントのフーディー。しかしそれ相応のカジュアルさとスポーティなニュアンスから、決してラグジュアリーとはいえないものがほとんどです。元来がスポーツアパレルであることを考えれば、至極当然のことかもしれません。しかし<スヴェーヴォ>がつくるコットンニット製のこのフーディーは、極上の肌触りと着心地はもちろん、クリーンで端正なルックスを含めて紳士のワードローブにふさわさしい"逸着"といえるでしょう。
<スヴェーヴォ>は1892年にイタリア・パルマで創業し、現在4代目当主が辣腕を振るう世界最高峰のニットファクトリーです。コットン糸の原材料から徹底的に厳選した「スーパーソフト コットン」を使用し、ふんわりソフトに編み上げられたニット生地は、"世界最高峰"と呼ぶにふさわしい別格の柔らかさ、軽やかさによって、優しく包みこまれるような着心地を実現しています。
フード内側のみ2枚仕立てとすることで、首周りのキリッと引き締まった表情を演出する保形性を確保。さらにドローコードとリンクする配色でソリッドな一体感を生み出しています。コードエンドにあしらわれたメタルチップの煌めきも、高級感を醸し出す効果的なアクセントとして見逃せません。
インナーは、27ゲージコットンニットとゆるふわ編みのボーダーポロニットという、<クルチアーニ>同士のレイヤード。<スヴェーヴォ>と<クルチアーニ>という、イタリアが世界に誇る"至高"と"極上"が融合した魅惑のニットアンサンブルとなっています。<ピーティー トリノ>のリネンストライプパンツに<サントーニ>のレザーサンダルを合わせれば、このうえなく快適にしてエレガント。非の打ち所のない、理想的リラックススタイルが手に入るのです。


Style 2
圧倒的な軽さとクオリティ
フロントジップのフーディーよりもドレッシーで、男らしく凛々しい佇まいが獲得できる、ブルゾンタイプのアウターにもとっておきの逸品があります。
<キーレッド>の新作からピックアップしたこのブルゾンは、シャープかつスポーティなポリエステル素材、そしてスウェットフーディーのような雰囲気のコットン、ポリエステル、ナイロンをブレンドしたジャージー素材という、対称的な表情を併せもつリバーシブル仕様。ポリエステル地ならつるっとサラサラ、ジャージー地ならふんわりソフトと、どちらが"裏地"となっても軽快で心地よい肌触りが味わえます。両面ともに一切妥協のない高度な完成度ながら、薄くライトな着心地を実現させる───まさにキートングループの<キーレッド>だからこそなせる技といえるでしょう。
フロントはダブルジップ仕様なので、どこまで開けるか、どこを開けるかも自由自在。着こなしや気候に合わせた体温調節など、アレンジの仕方に縛りは一切ありません。そしてシックで洗練されたカーキとライトグレーというカラーリングは、どちらも汎用性が高く、ありとあらゆるスタイル、オケージョンに対応してくれること間違いなしです。
今回はカーキのポリエステル面を使いシャツをタイドアップすることによって、かすかなレトロ感漂うショーツスタイルに仕上げてみました。ポリエステル面のポケットは、フラップ付きの縦型とサイドスリットを組み合わせたダブルエントリー仕様。小物の収納も粋なポケットインも、お手のものです。
インナーは、ヴィンテージのファブリックを使用した<フライ>のストライプシャツ。<セブンフォールド>のシルクニットタイを合わせ、ナチュラルな淡いトーンをキリッとクールに引き締めています。ボトムスは、美しいシルエットが際立つ<エスオー>のバミューダタイプ。足元はブーツでもサンダルもなく、<サントーニ>のホワイトレザーニーカーをチョイスすれば、夏らしく、スポーティかつエレガントなスタイルに仕上がります。


Style 3
最後に、最高レベルの軽やかさ、清々しさと同時に、クラシカルでドレッシーなムードも手に入る。そんな名作ブルゾンをご紹介しましょう。
強撚
<サルトリオ>から登場したこのスウィングトップ型のブルゾンは、同社のスーツにも使われている最高級のトロピカルウールを駆使したもの。微強撚糸を使用することにより、サラッとドライな肌触り、独特のシャリ感、高級感たっぷりな光沢、そしてしなやかで軽やかな着心地などの特長を、完璧なバランスで融合させた傑作です。
モダンなゆとりのあるシルエットのウエストに適度な絞りを加え、気品漂う風格とシャープなイメージを両立。深みのあるダークグリーンは、今季のトレンドでもあるシャツやパンツのフェード(褪色したような)カラーをより一層引き立ててくれます。アレンジ自在のダブルジップ仕様で、アクセントカラーのイエローが配されたスライダーが上品なアイキャッチに。裏地のパイピングやラバー仕様のタグなど細部にまでこだわりが徹底された、マストバイな逸品といえるでしょう。
インナーには、遊び心たっぷりな<サルトリオ>のウエスタンシャツ。絣(かすり)のようなドライな風合いのシャンブレー生地を使用し、さりげないダメージ感をプラスしています。これによりまるで長年着込んだ愛用品のようにも見える、味わい深い雰囲気を醸し出すているのです。その下には、<クルチアーニ>の27ゲージコットンニットポロをレイヤード。さらに<セブンフォールド>のシルクスカーフをひと巻きすることで、リズミカルで立体感のある、印象的な首周りを構築しています。
ボトムスにも<ピーティー トリノ>によるテラコッタ色ストレッチパンツを合わせれば、アーシーなフェードカラーでまとめたスタイリングが完成。スーパースリムなパンツだからこそ、ゆとりのあるブルゾンと好対照をなすシルエットを描くと同時に、<サントーニ>のレザーサンダルの存在感、洒脱な抜け感が最大化されるのです。
Photographs by Mai Kise
Styling by Taichi Sumura
Edit & Text by america