新しいスタイルを求めてストラスブルゴのアイテムから厳選し、ゲストのセルフコーディネイトをご紹介する人気コンテンツ。前回に引き続き、雑誌UOMO編集長の池田誠さんに密着。いつものファッションに<フライ>のシャツで味付けをした華やかながらもリラックス感のある着こなしを紹介致します。
今回の取材場所は、池田さんが時おり通う<stacks bookstore>。ここは、2021年に渋谷でオープンし、2024年に神保町にてリニューアルオープンしたブックストア。本だけでなくファッションやアルコール類の提供など様々なカルチャーが交差する場所だ。そんな馴染みの店でインタビュースタート。かつての池田さんは、モノトーン中心のスタイルを好んでいたそう。
黒、白、グレー。どれも万能で、どんな場にもなじむ安心感があった。だが最近、クローゼットの中に変化が訪れている。
「ピンクとかグリーンとか、前だったら絶対に選ばなかった色を買うようになった。意外と悪くないな、って思えるようになってきたんですよね。自分が年齢を重ねて50代が少し視野に入ってきて、白髪が混じりはじめた頃ぐらいから、自分の見え方に変化が生まれたんです。僕にとってはこれがすごくプラスで、自然と今までは取り入れなかった色を着るようになりました」。と話す池田さんが今回選んだのは、<ストラスブルゴ>が<FRAY>に特注したヴィンテージ生地の限定コレクションシャツだ。
「シャツは普段から着ていますが、いわゆるドレスシャツ的なスタイルは、あまり得意じゃなかったんですよ。しかも、オレンジのストライプは、かなり勇気がいるなって思っていました。でも、このシャツはいざ着てみると、ディスプレイで見たときほど派手な印象はなく、いい感じに馴染んでますね。コットンリネンという素材もいいのかもしれません。これなら無理なく着られそうです」。

「年を取ったからって『老けた』ってことじゃないと思います。むしろ新しい色を『足せる』ようになったっていう感覚ですね。昔は『これは自分らしくないな』って思ったら絶対手を出さなかった。でも今は、『試してみようかな』って思える。似合うかどうかは、着てみないとわからないですからね」。
そう話しながら、池田さんは最近チャレンジしていることをいくつか挙げてくれた。例えばシャツのタックイン。
「若い頃には抵抗があったけれど、今はバランスを取るために自然とそうしていますね。タックインが着こなしのテクニックとして抵抗なく使えるようになったことは、本当に自分のスタイリングを広げてくれました。UOMOでもたびたび提案していて、読者の反応もいいですよ」。
さらに、眼鏡といった小物にも、池田さんなりのこだわりがある。
「例えば、眼鏡は毎日同じ物をかけます。僕は、日によって眼鏡を変えるタイプじゃないので、眼鏡は消耗品の側面があるんです。なので3年ぐらいで買い替えていますね。そのときの自分の気分に合うかどうかで選んでいます」。

「このシャツをタックインすることを前提として、<アプレッセ>のパンツを合わせました。シューズは<コンバース>の変わり種であるローファータイプを。眼鏡は<ユウイチトヤマ>で、時計は<タイメックス>です」。
休日には、自宅近所の世田谷エリアのローカルなショップを訪れるのが池田さんの習慣。気軽に話しかけてくれる若いスタッフとの会話が、ちょっとした気づきやインスピレーションにつながるという。
「歩くことが好きで、休日は自宅の近所をよく散歩しています。ふらりと入った小さな店のスタッフさんと話しながら、昔の自分だったら買わなかったような服をトライしてみる。すると意外とハマってるなって発見があったり。そういうコミュニケーションのある場所は、やはり面白いですね」。
と話す池田さん。昔は、編集部のある神保町でも気軽に通える店や飲食店が多かったが、最近は観光客が増えたため、通える店がかなり少なくなったという。そんな中でも、常に自分を更新し続けるという柔軟な意識が、池田さんの装いから滲み出ている。長くファッションと付き合ってきた人だけが持つ柔らかく、でも確かなスタイルの輪郭が、そこには感じられるのだ。
FRAYとは?
1962年、ボローニャにて創業したシャツファクトリー。手縫いでは実現できない美しく耐久性のあるステッチを施すため、あえてミシンを使って生み出されるそのシャツは、いつしか「究極のマシンメイド」と評されるようになり、今なお最高峰のシャツブランドの一つとしてその名を広く知られている。今シーズンは、アーカイブとしてストックされていた生地を使ったストラスブルゴの限定コレクションを展開中。

池田誠
1977年大阪府生まれ。2000年に集英社に入社後、MORE、SPURを経てUOMO編集部に。2021年、UOMOプリント版編集長に就任。