裏地なしの軽妙な"キング オブ Uチップ"、
<エドワード グリーン>の「DOVER」
オシャレは足元から──この使い古された常套句は、いつの時代も変わらない紳士の鉄則。そして決して廃れることのない、絶対的な真理でもあります。なにかとカジュアルさやリラックス感がもてはやされる現代、さらにはつい履き心地や機能性を優先してしまいがちな春夏の装いだからこそ、なおさら肝に銘じておきたいものですね。しかしオシャレも、快適さも妥協しない、いまの気分にピタリとハマるモダンな傑作シューズが<エドワード グリーン>にありました。英国靴らしい王道的エレガンスと、イタリア靴のように軽快でしなやかな履き心地を兼ね備える、不朽の名作「DOVER」のアンラインド(裏地なし)モデル。今夏はこの軽妙に進化した"キング オブ Uチップ"が、きっと手放せなくなるはずです。
堂々とした風格はそのままに
こうも軽く、柔らかくなるものか
1890年の創業からまもなく「グッドイヤーウェルト製法」を取り入れ、美しさと快適性、そしてメンテナンス性や堅牢性を兼ね備える本質的靴づくりを探求。英国紳士靴の聖地であるノーザンプトンにおいて、数々の銘靴を創り出してきた最高峰のシューメーカー、<エドワード グリーン>。その代表作のひとつである「DOVER」は、"キング オブ Uチップ" "史上最も美しいUチップ"などと讃えられる至高のマスターピースです。

重厚で堂々とした英国靴らしいUチップである「DOVER」ですが、実はアッパーやラスト(木型)にさまざまなバリエーションが存在しています。ラストでいえば、<エドワード グリーン>スタンダードとされる「#202」、すっきりとした細身のロングノーズで「DOVER」のために製作されたとされる「#32」をストラスブルゴ各店で展開中。今回ご紹介するのも、そんなラスト「#32」を採用した春夏にピッタリ、いまの気分にフィットする軽妙洒脱な一足です。

触れずとも一目瞭然の最高級ヌバックカーフはもちろん、縫い目が表からは見えないトゥ部分の細やかなスキンステッチ、独特の立体的な表情を生み出すエプロン部分のライトアングルステッチなど、厳選された最高級の素材と卓抜のクラフツマンシップの融合によって生み出される<エドワード グリーン>ならでは、「DOVER」ならではの超絶技巧は、さすがの一語。そんな「DOVER」を必要最低限の裏地で薄くしなやかに仕上げ、圧倒的な柔らかさと軽やかな履き心地を実現したのが、このアンラインドモデルなのです。

しっとりとしてソフトなアッパーに加え、アウトソールにはクッション性と屈曲性に優れるラバーを採用。ヒールにはレザーミッドソールを使用しているので、端正で凛々しい後ろ姿に仕上がっているのもポイント。いつもの「DOVER」らしい風格はそのまま、いつもの「DOVER」とは一味違う、しなやかさや高い機能性を実感いただけるはずです。この佇まいのおかげでドレスからカジュアルまで、幅広いスタイルにフィット。さまざまなオケージョンでお愉しみいただけるはずです。
昨シーズンにご紹介したワンストラップシューズ「HORTON」のようなスリッポンタイプをアンラインドで仕上げ、さらなる履き心地の良さ、軽快さを追求するのも一手でしょう。しかしあえて"キング オブ Uチップ"こと「DOVER」をアンラインドとしたからこそ、本来のドレッシーさにしなやかさとリラクシングなフィーリングが融合した"夏の万能&最強シューズ"となるのです。
汗ばむような季節やリゾートスタイルには、サンダルやスニーカーが最適です。しかし、"オシャレは我慢"から華麗に抜け出し、無理なく"オシャレは足元から"が愉しめるこのアンラインド「DOVER」は、迷わず手に入れておくべきマストバイアイテムといえるのではないでしょうか。

Photographs by Mai Kise
Styling by Taichi Sumura
Edit & Text by america