「どうして日本人の若い娘は、ブランド品に興味があるの?若いうちは全く似合わないじゃない」と、イタリアマダムに言われたことをたまに思い出します。今から10数年前のこと。「女性にとって、大人になるということは、いい物が似合うようになること。若い娘がブランドものをもっているなんて、似合わないし、品がないだけじゃない」と言われて、本当にそうだな、と思ったのを、今も思いだします。
正確には、どのくらい前だったかな、と思い、調べてみました。そういえば、全身シャネルに身を包んだ女性を『シャネラー』なんて言っていた時代。まさに、その言葉が流行したのは、1995年でした。思っていた通り、ちょうど、約10年前。日本には、"コギャル"と言われる背伸びをした若い女性が、ブランドもののバックを買い、大人は、シャネルやグッチ、ドルチェ&ガッバーナを買ってクラブに出かけていました。
あのころの日本人にとってのハイブランドは、多くの人にとって、服としての(デザインやクオリティの)「価値」ではなく、「ブランド」というネームプレートであったような気がします。中には、本当の価値を理解していた方もたくさんいらっしゃったと思いますが......。
ちなみに、1995年のChanelのショーは、まさに、消費への意欲を掻き立てるような、ハッピーで、贅沢なコレクション。クラウディア・シファーや、カーラ・ブルーニ、リンダ・エヴァンジェリスタ、それに、ナオミ・キャンベルなどの伝説の豪華モデルが、登場し、景気を反映するといわれる超ミニスカートで、笑顔のキャットウォークが繰り広げる様子は、時代を象徴しています。
1995 Chanel RunWay より
今でこそ、雑誌を見ていても「大人の......」というフレーズがたくさん見られるようになりましたが、ストラスブルゴウィメンズストアが立ち上がった2000年から、ストラスブルゴは、常に、大人のためのセレクトショップを目指してきました。それは、今、思い返せば、「いいモノを扱いたい」という熱意の裏に、「いいモノを素敵に着こなせるのは、大人の女性である」という必然的な答えがあったからだと思います。
ジュエリーでも、服でも、なんでも同じだと思うのですが、いいモノには、共通点があります。
そこには、物理的なバランスともいうべき美しさ(人間が自然から教えてもらった美のバランスのようなもの)はもちろんですが、いいモノには、共通するのは、そこに関わる"人間の才能"が作り出す強いEnergyが詰まっている、ということ。
そして、その強いEnergyが、届けられたと時、人は、ユニークで、強いMessageを感じ、まさに、心動かされ、感動するのだと思っています。
そして、ハイブランドが作り上げる、1点1点は、実は、多くの競争、そして、多くの研ぎ澄まされたスペシャリストを魅了することができる、ほんの一握りの才能(デザイナー、パタンナー、クラフツマン、フォトグラファーetc...)が、心血を注いで作りあげる作品なのです。
そして、その価値が本当に似合うのは、やはり、わたしも40代半ばにはり、今なのではないか、とも思うのです。
イタリアマダムの言葉を思いだします。
「大人になったら、いいモノを......」
今日の夜、フランクフルトからパリに向かいます。今、まさにパリでは、ハイブランドが新作を発表する、パリ・ファッション・ウィーク。
明日から出会う、たくさんの「いいモノ」から、強いEnergyとメッセージを受け取り、ストラスブルゴの素敵なお客さまに、ストラスブルゴらしさのフィルターを通し、お届けできるように、出発します。
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