究極の一本を追い求める
パンタロナイオ
これまで多くの一流テイラーやファクトリーとの協業を行い、仕立て服の魅力を伝え続けてきたストラスブルゴ。
今回は、そんなストラスブルゴがこの春新たに招聘する職人、尾作隼人氏をインタビュー形式でご紹介していきます。
ファッションに興味をもったきっかけを教えてください。
ファッションには人並みに興味を持って専門学校に入ったのですが、はっきりとしたきっかけはありませんでした。
ただ、親族に大工や鳶などの職人が多かったこともあり、昔から「手に職を」という感覚が人よりも強かったように思います。
技術を身につけたいという思いから専門学校で学ぶうち、テイラーの技術に憧れを持ちはじめ、いつしか自然とそれを目指すようになっていったという流れです。
そうして夢が目標へと変わりつつあったころ、クラシコイタリア旋風が訪れました。初期衝動とも言える南イタリアのファッションへの憧れは今なお持ち続けています。
きっかけというには遅いかもしれませんが、その時の衝撃が今の自分のものづくりに最も影響を与えたかもしれません。
尾作氏が仕立てるパンツの特徴はどういったところでしょうか?
特徴は、型紙と設計、そしてそれに適したクセトリの技術によって作られるカーブした脚のラインと、腰回りにフィットするためのカーブしたベルトです。
キャッチーさが全く無いので伝わりにくいのですが、「究極の中庸」という言葉をコンセプトとして目指しています。
パンツを作るうえで大切にしていることはありますか?
返答が難しいのですが、強いて言うのであれば考えられること全てを大切にしています。
型紙や縫製はもちろんのこと、お客さまとのコミュニケーションも含め、特別な1本を仕立て、特別な体験を提供したい、もしくは共有したいと思っています。
尾作氏が考える最高のパンツとはなんでしょう?
ビスポークですから、最高のパンツとはすなわち「目の前の一人のお客さまにとっての最高のパンツ」です。
幸いにしてほとんどのお客さまが私のスタイルでパンツを仕立てることを望まれますので、私のスタイルとお客さまの希望とを合わせたものを形にするということを目指しています。
きちんとお客さま目線でありつつ、正しいフィッティングであるというものが最も好ましいでしょうね。
尾作氏から見たストラスブルゴの印象というものがあれば教えてください。
稚拙な表現で恐縮ですが、イケイケな印象を持っていました(笑) それと同時に海外の職人を積極的に招聘しつつ、日本人職人との接点を作り、その中で職人や文化を育てていっているという印象もあり、素晴らしいと感じると共に羨ましく思ったりもします。
この生地でパンツを作ってみたいというような、生地の好みなどがあれば教えてください。
自分自身の生地の好みに関しては、結構コンサバだと思います。
好みは日常の中から形成されていくと思いますが、仕事柄パンツに適したものを好ましく思うので、それなりにしっかりした生地の方が好きですね。
ここ数年は国産の低速の織機で織られた生地に魅力を感じています。毛織物メーカーの葛利毛織さん(愛知県一宮市)とお付き合いをさせていただいていますが、本当に素晴らしいです。
今後、ストラスブルゴとの取り組みで期待することはありますか?
ストラスブルゴさんには素敵なお客さまがたくさんいる印象を持っています。 今までご縁の無かったお客さまや、ショップスタッフの皆さまとの出会いの中で、新しい提案が生まれるかもしれません。 そういった現場で生まれる何かにとても期待して、楽しみにしています。
私自身、あまり大きな目標は持っていませんが、皆さん一人ひとりに全力で向き合うことこそが、私のパンタロナイオとしてのやりがいでもあります。
多くの皆さんと出会い、私の手がけるパンツに触れて、いつものパンツとは違う何かを感じていただけると嬉しいです。