Carine Roitfeld "irreverent"

Carine Roitfeld、カリーヌ・ロワトフェルド。
昨年12月、(そう、もう早くも一年経ちました・・・)仏VOGUEの編集長を電撃的に辞任し、個人的活動を始める、というセンセーショナルな発表があり、そして、それ以降も、より一層注目を浴び続ける女性。
映画監督の父を持ち、モデルを経験し、未婚のまま、二人の子どもを持ち、VOGUE編集長として10年を過ごした彼女の偉大な存在は、女性としても、そして、ひとりのアーティストとしても目が離せない存在です。

その彼女が、今年10月に発売したハードブック"Irreverent"。
彼女の"Fashion感"、"エレガンスとは何か"、そして、どこにFashionへの"情熱"を持ち続けるモチベーションがあるのか、など、インタビュー形式でつづられた、映画のような一冊。

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時間を忘れ、まるで長編の映画を観るように、気がついたら、1日中、この本と大好きな炭焼きコーヒーとともに過ごしていました。

はじまりは、黒か白のシャープなCaline(カリーヌ)らしいスタイルではなく、Tシャツを着た彼女。

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"My son Vladimir made this T-shirt as a present for Mother's Day when he was eight years old. And I hadn't started working at Vogue yet!!!"
息子のVladimirが、彼が8歳の時、母の日に作ってくれたT-shirt。そして、その時、わたしは、まだVOGUEでは、働いていなかったの!!!


愛息のVladimirが8歳の時、VOGUEで彼女が働く前に、母の日に送ったTシャツ!8歳の息子と夢を共有していたということ?

そう、彼女は、仕事とプライベートを2つの別の世界にするのが好きではなく(彼女だからできることかもしれませんが)、職場にも二人の娘と息子を連れていくことがあるといいます。
それは、彼女にとって、生きることそのものが、ファッションという仕事と直結していて、ファッションに携わる、それそのものが、生きることでもある、ということ。

いつも、髪で顔を隠すようにした写真が多い彼女は、ロシアの血をひく顔立ちからも、時に冷たく、近寄りがたく見えますが、素顔に迫る始まり方に、意外性と、彼女らしい裏切りが見えたような気がします。

"....... what interested in fashion isn't the season's trends, a new skirt hemline or the latest collections. It's women's attitude towards fashion, the way they stand, walk, cross their legs, and how they wear clothes."
面白いのは、ファッションは、トレンドではなく、スカートのヘムラインがどうとか、最新のコレクションがどうとかではなく、女性のファッションに対するAttitude(向きあいかた)で、どんな風に立って、どんな風に歩いて、どんな風に足を組むか、どうやって、服を着るか、ということ。


世界の気分=潮流があり、現代は、ファッションが「スタイル」をリードして、人々が「スタイル」を追う、のではなく、世界が急速に変化し、それぞれのスタイルを追求する、というのが「スタイル」になり、それが、時代の空気となってカルチャーになっている、という時代。たしかに、2012年春夏のトレンドキーワードフューチャリスティックでスポーティなんて、ひとそれぞれ、その気分をそれぞれが表現すればいいじゃない、というのが今の気分です。

生き方、向き合い方、が問われる、だから混沌として、でも面白い!

"......There was a time when I thought that it was clothes that determines one's appearance, but now I know that it's people themselves......What counts is true elegance, which is always something personal and inimitable"
服が、人がどう見えるかを決めるものだと思っていた時代もあったわ。でも、今は、人を現すのは、その人そのものだとわかったの。......大事ななのは、エレガンス。それは、パーソナルなものであり、真似できないもの。


"porno-chic"という言葉を生みだした彼女の仏VOGUEは、センセーショナルで、多くの物議を醸したといいます。
その代表的な写真、ひとつひとつをみていると、まさに、そこには、タブーが存在するように見えもします。
ただ、それは、タブーを喚起するためではなく、つまり、"挑発的"なのではなく、人間の生活の中にある現実をシュルレアリスティックな手法で、ある意味、よりリアルに表現しているがゆえの"衝撃"なのではないか・・・・・・と。

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タイトスカートとハイヒール、ブラックxホワイトが代名詞のような、彼女のシンプルなスタイル。
その中に、発見と裏切りと、そして、挑戦が潜んでいる、究極のシンプリシティ。

2012年9月、雑誌を創刊するという彼女の生き方、そして彼女の感性を通した世界の切り方から、ますます目が離せません。