たっぷり語りたい、あのブランド・この名品
フルハンドによる圧巻のセッテピエゲ
<ペトロニウス>がタイドアップを軽やかに昇華する
クラシカルなスタイルに、リラックスしたムードと軽やかなエレガンスを添えたい、今日この頃。
そんな気分にジャストフィットする、風に舞うスカーフのごとく流麗で、特別なネクタイがあります。
古代ローマ帝国の美の探求者の名を冠し、イタリア・ミラノで3代続く名門である<ペトロニウス>は、
上質な素材と伝統的なプリント加工、そして丁寧な手仕事による「セッテピエゲ」にこだわる老舗ブランド。
これさえあれば、格式と優美さを兼ね備えた現代の洒落者タイドアップスタイルが、容易に手に入るのです。
イタリア・ミラノのスカラ座に近いルガベッラで、ルイジ・ウォーリッシュにより1926年に創業した<ペトロニウス>。以来3代、およそ1世紀にわたって国内の熟練した職人によるフルハンドメイドにこだわり続け、いまも生地の裁断から縫製にいたるまで、すべての工程を手作業で行う最高峰のネクタイブランドです。
この<ペトロニウス>という名は、ローマ帝国第5代皇帝ネロ時代の執政官で、作家でもあったガイウス・ペトロニウスにちなんだもの。後世に名を残す狂帝に支配された宮廷にあって、"典雅の審判者"として洗練と優雅を極め、美を追求した粋人の名前を冠し、シンボルとすることにしたといいます。
創業一族であるウォーリッシュ家は、巧みに時代性を取り入れながらもその卓越した技術と伝統を守り、受け継いできました。デザインはルイジがつくり上げた1920-40年代のアーカイブをベースとしつつ、クラシックなテイストとモダンな感性を融合させた、本質的な"美"を追求。ドットやストライプなどの比較的ベーシックなものから、ペイズリーやジオメトリックといった遊び心たっぷりなものまで幅広く展開しています。いずれもレトロなムードを漂わせながら、フレッシュでトレンド性も十分なものに仕上がっているのがお分かりいただけるはずです。
そんな<ペトロニウス>で、この夏、ストラスブルゴが強くおすすめしたいのが、ネクタイの由緒がスカーフにあることを再認識させてくれる、軽やかなセッテピエゲ(七つ折り)仕上げのシルクタイです。なかでも1970年代のアーカイブからピックアップしたヴィンテージのペイズリー生地は、イタリアブランドらしい鮮やかな色柄、オリエンタルなエスニック風味などが季節感やトレンドとも合致。着こなしのスパイスとして効果的なのはもちろん、風を受ければフワリと浮き上がるような軽やかさ、まるで工芸品のような美しさによって、見るからに洒脱で衆目を集めるスタイルを獲得できます。またソフトでしなやかな着け心地と最高峰の名品を身に着けているという悦びは、着用している本人の極めて高い昂揚感、"自己満足"も約束してくれるでしょう。
このペイズリー柄が醸し出す絶妙なヌケ感と深い味わいは、上質なシルク生地に伝統的な石版プリント加工を施す<ペトロニウス>ならではのもの。機械ではなく伝統的な道具を駆使し、職人の手によって一枚一枚ゆっくりと行われているからこそ、かすかなカスレや滲みすら愛おしい唯一無二の魅力が手に入るのです。この加工はドットやストライプなどを含めたプリント柄すべてに共通するもので、一見デジタルなグラフィックのなかにアナログなニュアンスを取り込んだ、<ペトロニウス>の真骨頂と呼べる技術です。
芯地を用いず、生地を七つに折り畳んで仕上げる、最も伝統的かつシンプルな技法のセッテピエゲ。このセッテピエゲでネクタイを製造しているのは、なにも<ペトロニウス>だけではありません。しかしスカーフと見紛うその軽やかにおいては、まさに別格。シンプルであるがゆえに最高の素材を厳選、駆使し、せっかくの軽やかさを損なわない最高の、最小限の手仕事で優雅に仕上げる──そんな"典雅の審判者"たる<ペトロニウス>の技術と美意識が結晶化したのが、このシルクタイなのです。
<ペトロニウス>のネクタイは、一見すると派手に感じるかもしれません。しかし色使いにきちんと配慮したコーディネートには思いのほか馴染みやすく、それでいて特別な存在感を発揮してくれるという特徴があります。プロダクトとして"映える"アイテムでありながら、実はコーディネートでこそ真価を発揮し、最も"映える"のが<ペトロニウス>なのです。
肉厚で重厚な王道の<キートン>、独創性たっぷりなこだわりの<アット ヴァンヌッチ>とは一味違う、軽やかさを極めマニア心をくすぐる<ペトロニウス>。ぜひ店頭で、その手触りや着け心地をお確かめいただきたい珠玉の逸品です。