ユニオンワークス 渋谷店は、2019年1月にTWTG (THE WAY THINGS GO)x UNION WORKS 渋谷店に生まれ変わりました。TWTGは以前ST JOURNALでもご紹介した、オーナーの石見 豪氏(https://strasburgo.co.jp/journal/interview/shoeshine.php)を筆頭に、今年2月に開催された第2回靴磨き日本選手権大会で優勝された寺島 直希(てらしま なおき)氏など有望なスタッフを数多く擁する、大阪が本拠の靴磨き専門店です。
これまでの本連載ではユニオンワークスの中川氏にお話を伺って参りましたが、Vol.3の今回は新たに石見氏を迎え、靴をケアするということについて考えていきたいと思います。
靴が工場から出荷される時はもちろん完璧に整えられた状態です。ですが、出荷から店頭に並び、皆さまのお手元に届くまで実は意外と多くの時間が経過しており、その時間はある意味お手入れを放置した状態とも言えます。最近では靴を履き下ろす前に、その時間を取り戻す保湿や油分補給、また、柔らかさを出すためとして多くの方がプレケアを行っていると思います。
石見氏はプレケアの必要性について、革の保湿などももちろんですが、一番の理由は靴を守り、そして長く履くためだと語ります。
例えば新品の靴を履いた食事の席で、靴の上に食べ物を落とし、油染みがついてしまったというような経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。しかし、もししっかりとプレケアをして油分が入った状態であれば、靴の表面の油分が食べ物の油分の侵入を防ぎシミになることもありません。
靴に栄養分を補うことは、実用品として長く履いていくためにとても必要なことです。
鏡面磨き(ハイシャイン)に対しても、TWTGならではの配慮がされています。それは、表面に柔らかくワックスを残している点です。
写真は鏡面磨きが施された石見氏の靴。
靴は注意していても気付かずどこかにぶつけてしまうもの。一般的な鏡面磨きの靴をぶつけてしまうと、ワックスが剥がれた状態になることが多いのですが、TWTGが施した鏡面磨きの靴は柔らかい山羊ブラシで表面を整え、クロスと数滴の水で馴染ませるだけで元の輝きが復活するのです。
石見氏が提唱するケアは決してその時だけのものではなく、持続性、プラスアルファの価値をもたらすものなのです。もちろんケアの仕方は千差万別で、その靴への愛から生まれるケアはどれも間違いではないでしょうと語る石見氏。
その中で、日本ほどケアに対して研究熱心な方が多い国はありません。また、これほど多くのケア用品が揃い、そのそれぞれが独自に進化を遂げている国も他にはないでしょう。そして、この深い探究心は現在アジア諸国へも広がりを見せています。世界靴磨き選手権での優勝者に日本人を含めたアジア系の方しか出ていないというのも面白い傾向です。
TWTG x UNION WORKS 渋谷店に毎月数名の外国人の方がいらっしゃるように、アジア各国に様々なアイテムで靴をケアする方が増えています。店内には、大切な海外の友人から開店祝いとして送られた絵も飾られています。
また、店内ではシューケア用品以外の商品も展開しています。その内の一つ、ヘアスタイリング用のポマードもヒットアイテムとのこと。ポマードという言葉にどこか懐かしさを感じます。
THE WAY THINGS GOの文字が入った銅板
カウンターに飾られているのは、2018年靴磨き日本選手権の優勝トロフィー
店内のいたるところに潜む、英国雰囲気漂うディスプレイ
クラシックな面持ちの英国製ヴィンテージのキャビネット
ヘアスタイリング用のポマード、遊び心のあるパッケージにも注目
ケアという言葉には多くの所作が内包されます。クリームを入れる、ブラッシングをする、乾拭きをする、こだわりのシューツリーやシューホーンを使う、靴底に対してはハーフラバーを貼ったり、ビンテージスチールを付けることなど......
ユニオンワークスやTWTGが持つのはその確かな技術力ももちろんですが、お互いが手を取り合うことで単なるリペアやケアだけにとどまることなく、大きな広がりを見せているのです。それらは全て、一足の大切な靴をより長く履いていくため。
エドワード グリーンの靴を安心して任せられるところがあります。ユニオンワークスとザ ウェイ シングス ゴー。それはリペアのプロ、ケアのプロ。