カジュアルの計はパンツにあり。
長引く残暑が過ぎたら、街は一気に秋模様。
爽やかな風に誘われて、休日も足取り軽やかに出かけたくなります。
さて、今年はどんな服で秋冬を過ごそうか......そう思案しているなら、
まずパンツから新調してみることをおすすめします。
一見脇役に思えて、実はお洒落の成否を決定づけるパンツ。
自由な装いを楽しめるカジュアルスタイルでこそ、
その重要度は高いのです。
Style 1
ベーシックカジュアルが見違える
上品なブルーグリーンのモックネックニットに、軽やかな仕立てのジャケット。エレガンスとコンフォートを両立する鉄板の組み合わせを休日に楽しむなら、パンツは気楽なジーンズかチノか......と考えがち。もちろんそれも悪くないですが、ここではあえてウールスラックスを選んで大人のシックを表現。ただし、大柄のウインドウペーンが走る小洒落た一本を選んで、カジュアルらしい遊び心を取り入れているのがポイントです。パンツはつい無難な無地ばかり選びがちですが、柄ものを一本揃えておくだけで着こなしの幅がグッと拡大。ベーシックなトップスにアクセントが加わり、断然新鮮なスタイルを築けるのです。職場によってはオフィスカジュアルとしても通用する装いです。
さて、ここで注目いただきたいのがシルエットの美しさ。適度にゆとりをもたせた腿周りから一切のダブつきなく落ちるテーパードラインが実にエレガントです。こちらのパンツは、日本を代表するパンタロナイオ(ビスポークパンツ職人)、尾作隼人氏が手がけた「SO」の新作。ビスポークの型紙や製法を活用することで、既製ながら驚くほどの美脚効果を実現する逸品です。人間の動きも計算した仕立てのため、窮屈さを感じさせないのも魅力。見た目とは裏腹に、極めて快適なはき心地を味わえるのです。
クラシックな2プリーツで仕立てたこちらの一本ですが、美しいグリーンのチェック柄によってカタ苦しさ感じさせません。カジュアルスタイルを優雅に格上げしたいときに、絶好の使い勝手を発揮してくれます。ちなみに写真のスタイリングでは、パンツの柄色とニットの色を同系色でリンクさせているのがポイント。上下の一体感が生まれ、いっそう洒脱な印象を醸し出します。
Style 2
今季らしさの源に
今年の秋冬は引き続き、ブリティッシュ・トラディショナルなスタイルが旬。伝統柄のジャケットやニットで英国気分を取り入れるのもよいですが、パンツでそのムードを表現するなら、断然コーデュロイがおすすめ。素材感豊かな太畝を選べば、いっそう今年らしいスタイリングに仕上がります。こちらはブルーがかったライトグレーがモダンさを醸し出しているのもポイント。コーデュロイって老けて見えそう......という心配は全くありません。冬色の定番であるブラウン系のトップスとも絶好の相性で、重くなりがちな冬スタイルに抜け感をもたらしてくれます。
こちらも「SO」の一本。シルエットは前出のチェックパンツと同じですが、フロントをノープリーツにしてスポーティに仕上げています。洗練された美脚テーパードシルエットと、カントリー由来のコーデュロイというミックス感が実に今どき。経年変化により生地が柔らかくなり、味が深まっていくのも魅力。気負わずガシガシとはける一本です。
ジャケットを合わせて大人らしくまとめつつ、インナーにはパーカを合わせてリラックス感を演出。とはいえラフなスウェット生地ではなく、カシミア100%のニットパーカでラグジュアリーに。こういったさりげないこだわりも、エレガンスとコンフォートを両立させる鍵なのです。