デスクワークの多いアトリエでは
質のいいニットを着たい。

僕の仕事は大きく分けると、事務所で図面を描いたりするデスクワークと、クライアントや業者の方々と打ち合わせする外回り的なものの２種類なんです。事務所で作業をする時は、基本的に一人なのでリラックスした服を着ることが多いですね。長時間座っていることもあるので、ウエストがゴムのパンツとか足元はスニーカーを履いたりしています。ただ急遽、来客があってもいいように、ジャケットは常備しています。僕の服選びは、着心地と快適性を重視します。建築も同じですが、やっぱり居心地が良くないと住みたくなくなるし、着心地が良くないと着なくなっちゃいますからね。プライベートでは、派手な色や柄も着るんですが、仕事着となるとほぼ黒かネイビーになってしまいますね。今回は、〈クルチアーニ〉の白のニットを着ていますが自分にとってはすごく新鮮な気分です。〈クルチアーニ〉のニットは他に薄手のものを自分でも持っているのですが、これは、着心地も良くて、しっかり厚みがあるのにどこも締め付けがない感覚がいいですね。フィット感でいうとルーズなんだけれど、適度に馴染んでいるのでだらし無く見えないのも気に入りました。ワッフル系の柔らかくフワッとした編み地も肌馴染みがとてもいいですね。

建築業界では、ここ数年でVR技術の進化がスピードアップしていて、新しいもの好きの僕も、かなり早くから自分の仕事にVR技術を導入しています。昔は、さまざまな角度から模型を見て、建物や室内のイメージをしていましたが、VRソフトを使えば、建物の中にいる視点を体感できるんです。見ての通り、室内を歩くように事務所内をウロウロしたり手をふりかざしたりするので、動きやすいニットを着るのは必然でもありますね。Vネックのニットは普段は着ないのですが、これは好きです。首周りが開き過ぎてなくて品がいい印象です。

事務所作業時の足元は、〈サロモン〉のスニーカーが最近多いですね。僕は、ソックスを見せるスタイリングがどうにも苦手で、スニーカーも革靴もハイカットが基本なんです。このスニーカーは、とても気にいっていて実は、２足購入しました。ソールがビブラムではなくてミシュランというのもポイントなんです。でも、どうやら今年で販売が終わってしまうようなので、追加の購入も検討中です（笑）。パンツは、ストリート系の雰囲気が気にいっている〈OAMC〉を合わせました。

僕は、プライベートでは、アウトドアや登山が趣味なので、ファッション的にもそっちよりのセレクトが多いんです。ただ、仕事の時のスタイルには、一般的に皆さんがイメージする建築家像に寄せに行っている部分もありますね。独立したての頃は、シャツにネクタイという姿で仕事をしていました。その頃よりは、ほんの少しだけカジュアルかもしれませんが、最低限のトンマナは外さないようにしようと心がけています。

• Knit［CRUCIANI］¥113,300

CRUCIANIとは？

1966年にイタリア・ペルージャにてニットファクトリーとして創業。1993年より、ブランドとしてコレクションをスタート。現在では、世界最高峰のニット糸製造工場、Caliaggi社の糸を主に使いニットコレクションを展開している。定番モデルのシルエットは、タイト＆フィットが基本で、着心地の良いシルクカシミヤニットがブランドのアイコンになっている。クラシック過ぎない、モダンな感覚を持ったハイクオリティなブランドとして人気。

建築家

三井嶺

REI MITSUI
1983年愛知県生まれ

東京大学工学部建築学科卒業後、同大学院（日本建築史専攻）で茶室を研究。修士課程修了後、坂茂建築設計を経て、2015年三井嶺建築設計事務所を設立。茶室をはじめとする日本建築の建築理論を探求し、設計活動を主軸に自身の建築哲学を実践している。「骨と装飾」「茶室に見る"無"と透明性」「イメージの媒介としての建築」を創作のキーワードとする。主な作品に「日本橋旧テーラー堀屋改修」、「柳小路南角」、「森の図書館」、茶室「清風庵」など。受賞歴にUnder 35 Architects Exhibition 2017最優秀賞、住宅建築賞2021など。