建築家 三井嶺
建築家として、図面と向き合うデスクワークやクライアントへのプレゼンなど、日々、奮闘する三井嶺さん。毎回このコンテンツでは、ゲストの方がストラスブルゴのセレクトアイテムを吟味し、セルフスタイリング。前回に引き続き、三井さんのこだわりスタイルを紐解きます。
カシミアニットのジャケットで
新しいビジネススタイルを。
プレゼンに行く時は、勝負服としてジャケットを着て挑みます。今回合わせたジャケットは、カシミアニットなんですよね。今までに化繊がミックスしたタイプは着たことがありますが、カシミア生地のアイテムは初めてです。ニットジャケットやカーディガンってどうしてもおじいさんっぽい雰囲気やカントリー調になりそうなイメージがあって敬遠していましたが、これは、素材感も相まってか、程よい緊張感でカチッとした印象が損なわれていないのがいいですよね。僕の基本色は黒とネイビーなんですが、いざ、着てみるとグレーでもまとまるんですね。不思議な感覚ですが、ちょっと自分のスタイリングの色の幅が広がった気がします。
細かいところで言うとジャケットの裾のカッティングが目を引くんです。45度ではなく、もっと鋭角に切った60度ぐらいの形ですね。ちなみに、建築業界ではこんな感じで角を削った面を「エテ面」と呼びます。見る方向によってシャープにも柔らかくも見える面の取り方で、まさにそれだなと思いました(笑)。柔らかいニット素材だから、なんとなくゆるっと丸くしちゃいそうですが、鋭角にしたことによりカチッとした印象なんですよね。ちょっとしたディテールだけどすごいなと感じました。
このリュックは、〈speedo〉のバックパックで、シンプルな作りが気に入っています。元々プールバッグなので防水だしファスナーで大きく開閉してA3サイズが収納できます。さらに底面にマチがあるので自立するのもポイントですね。ちなみに値段もかなり安いので、常にストック買いしています。インナーに合わせたのは、自前の〈クルチアー二〉のニットです。時計は、妻から結婚した時にプレゼントされた〈タグホイヤー〉のモデルを愛用しています。革靴は、英国の〈サンダース〉です。前回も話した通り、どうにもソックスが見えるスタイリングが苦手なので、ハイカットブーツです。実は、〈クルチアー二〉のニットが前から好きで冬はほぼ毎日ユニホームのように着ているんです。ちょうど長く着ていたニットの一部がほつれてしまったので、リピート買いしようか考えていたところですが、このカシミアジャケットとの相性も抜群にいいので、より欲しくなってしまいますね。今度、何かのプレゼンが成功したら自分へのご褒美に買ってみようかと思います(笑)
CRUCIANIとは?
1966年にイタリア・ペルージャにてニットファクトリーとして創業。1993年より、ブランドとしてコレクションをスタート。現在では、世界最高峰のニット糸製造工場、Caliaggi社の糸を主に使いニットコレクションを展開している。定番モデルのシルエットは、タイト&フィットが基本で、着心地の良いシルクカシミヤニットがブランドのアイコンになっている。クラシック過ぎない、モダンな感覚を持ったハイクオリティなブランドとして人気。
三井嶺
1983年愛知県生まれ
東京大学工学部建築学科卒業後、同大学院(日本建築史専攻)で茶室を研究。修士課程修了後、坂茂建築設計を経て、2015年三井嶺建築設計事務所を設立。茶室をはじめとする日本建築の建築理論を探求し、設計活動を主軸に自身の建築哲学を実践している。「骨と装飾」「茶室に見る"無"と透明性」「イメージの媒介としての建築」を創作のキーワードとする。主な作品に「日本橋旧テーラー堀屋改修」、「柳小路南角」、「森の図書館」、茶室「清風庵」など。受賞歴にUnder 35 Architects Exhibition 2017最優秀賞、住宅建築賞2021など。
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