VOL.1 Uplifting Tailored Suit

ほどよくカジュアル、されどエレガントな
"いま"こそ欲しい羽織りもの

うららかな日差しが降り注ぐ春を迎え、気づけばあっという間に初夏の気配が漂う今日このごろ。カジュアルなオケージョンにおいてはカットソー1枚や半袖で過ごせるような日もありますが、まだまだ油断は大敵。朝晩の冷え込みにしっかり備えるとともに、いましか味わえない春スタイルを思う存分満喫したいところです。ビジネスの緊張感から解放され、リラックスしつつも節度のあるエレガントな装いを愉しみたい───そんな紳士におすすめのアイテム、それは俗にいうところの"羽織りもの"。優れた知性と感性を醸すレイヤードルックを描き出し、気温やシーンに併せた脱ぎ着すら絵になる、とっておきの3アイテムをご紹介いたします。

スタイル 1
スタイル 1

Style 1

洗練された大人にこそふさわしい
唯一無二のアワードジャケット

最初にご紹介するのは、<キーレッド>のカシミヤメルトン製アワードジャケットです。

<キーレッド>はクラシコイタリアの重鎮である<キートン>から2000年に誕生した、アウターブランド<カッパプント>がその前身。現ブランドマネージャーであるルカ・マネッタ氏のプロデュースによって、スポーツからドレスまで幅広く、柔軟に対応できるコレクションを展開するブランドとして2015年にリブランディングされ、いまに至ります。

旧き良きアメリカンカジュアルの王道、そして少年心をくすぐるこのアワードジャケットは、定番的デザインを採用しながらも高級感たっぷりなカシミヤメルトン生地を使用。さらにネイビーとホワイトという落ち着きのあるカラーリングでシックにまとめることで、アメリカの大らかさとイタリアの洗練、カジュアルさとエレガンスをバランスよく兼ね備えた逸品に仕上がっています。コットンリブの襟や袖口、裾にあしらわれた控えめでシンプルなラインが、汗臭くも子どもっぽくもない、絶妙なスポーティさを演出。またフロントはダブルジップ仕様となっており、多彩なニュアンスを自由自在に表現できるのも魅力です。

そんな大人のスポーツテイスト漂う羽織りものだからこそ、タイドアップしたインナーの端正なイメージをさらに引き立ててくれます。立体的な襟元を演出してくれる<チリエッロ>のタブカラーシャツに、古代ローマに実在したといわれる政治家の名から着想を得た<ぺトロニウス>によるシルクタイ。そして<マックジョージ>のケーブル編みニットベストというコンビネーションは、まるで名門カレッジのオーセンティックなスタイルのよう。ベスト、タイ、そして<エスオー>のウールリネントラウザーズまでグリーン系でまとめることで、スクールカラーあるいはパーソナルなイメージカラーを想起させる品格十分のスタイリングが完成するのです。

羽織ってよし、脱いでもよしの、完璧に"旬"なコーディネイトといえるでしょう。

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Style 2

紳士のあらゆるシーンに寄り添う
フーデッドパーカの大本命

昨今、勢いを増している注目ブランド<マンゾーニ24>の新作からも、おすすめの羽織りもの系アウターをピックアップしています。

<マンゾーニ24>は、毛皮・皮革専門のメーカーとしてさまざまな一流メゾンのOEMを手掛けていたイタリア・ミラノのコンドルペッリ社が、よりコンテンポラリーでファッション性の高いオリジナルコレクションを打ち出すべく、1951年に創設した大人気ブランド。最高級の素材と精緻な技巧、モダンなデザインを融合したものづくりを得意とし、リバーシブルやロロ・ピアーナ社のカシミヤをステッチなしで結合するなど、革新的な技術を駆使していることでも知られています。

見るからに軽やかな膝上丈のこのアウターは、イタリアのオルメテックス社による2層構造の高機能ポリエステル素材を駆使したフーデッドコートです。フードは着脱ができるので、取り外せばこのようにすっきりシャープなハーフコート風に、つければ高い防水・透湿・防風性を最大限に活かしたヘビーデューティーなアウターにと、あらゆる場面で活躍してくれること間違いなし。王道を行くタイムレスな意匠とクラシカルなディテールが際立ち、カジュアルやトラベルはもちろん、スーツに合わせてビジネスシーンで活用できる普遍性まで備えています。ゆとりのある流麗なシルエットに加え、後ろ裾には深めのセンターベントを設けることでストレスのない機動性を確保している点にも注目です。

そんな万能選手をスポーティに、ポップかつエレガントに羽織るなら、<クルチアーニ>の27ゲージコットンニットポロに、<セラードア>のヴィヴィッドなオレンジが冴えるイージーショーツというコーディネイトがおすすめです。同じく<マンゾーニ24>の中綿入りリバーシブルブルゾンを、さりげなくレイヤードしているのも効果的。足元は重厚なクラフツマンシップ漂う<サントーニ>のレザーサンダルに、ショーツとリンクするネオンカラーのソックスを添えて。首元に<ディエッフェ キンロック>のクラシカルな自転車柄プリントが施されたスカーフをひと巻きすることで、ポップさやカジュアルさは見事に昇華。素足を見せていてなお品よく華やか、かつ洒脱なムードに仕上がります。

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Style 3

あえて重ねて愉しみたい
絶品羽織りのアンサンブル

最後にご紹介するのは、主役級の羽織りもの同士によるレイヤード。ライダースジャケットとニットパーカによるアレンジ自在、魅惑のアンサンブルです。
ハードで無骨になりがちなアイテムゆえ、アワードジャケットと同様に不滅の定番アイテムでありながら、"アレルギー"をもっている人も少なくないアイテムのひとつ、ライダースジャケット。しかしこのソフトなラムスエードを駆使した<クルチアーニ>らしい逸品は、リアルなバイカーではなく洗練された紳士にこそふさわしい、ラグジュアリーかつエレガントな1着です。しなやかで上質なラムスエードは身体にしっとりと馴染み、着込んでいくほどに味わいと深みを増していくこと間違いなし。ニットウエアの最高峰としてすっかりおなじみの<クルチアーニ>ではありますが、レザーアイテムもニット同様、至高の着心地と圧倒的クオリティを保障してくれます。

その内側に重ねたのは、<クルチアーニ>に勝るとも劣らないクオリティを誇る<イルボルゴ>のニットフーディーです。素材は最高級のシルクとコットンのブレンド。両脇のポケットや裾、そしてジップに沿って施されたホワイトのラインがスタイリッシュで、ニット特有のほっこり感とは無縁です。シルクにコットンをブレンドして編み上げたニットは艷やかで、しなやかかつリラックス感がありながらも都会的なムードを醸し、フロントのダブルジップによりさまざまなアレンジが可能。さらにライダースとのコンビネーションによって、どんな気分やコーディネイトにもフィットする千変万化のレイヤードスタイルが愉しめます。

インナーには<クルチアーニ>27ゲージコットンニットポロを合わせ、ニットフーディーの裾は、あえて<セラードア>イージートラウザーズにタックイン。<ディエッフェ キンロック>の大判シルクスカーフでウエストマークしつつ、<セブンフォールド>のシルクスカーフで首周りに立体感と華やぎを添えています。落ち着きと気品を感じるアーストーンのなかにも、しっかりとした色柄や素材で変化をつけたスタイリングは、まさに大人の余裕を感じさせる、軽妙にして洒脱な羽織りものコーデといえるでしょう。

Photographs by Mai Kise
Hair by hirokazu endo (ota office)
Styling by Taichi Sumura
Model by Etienne (EXILES)
Edit & Text by america

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