知っていますか?
"本当に上質なマフラー"の秘密
カシミアマフラーの聖地であるイギリスには
名門と称されるブランドがいくつか存在しますが、
なかでもジョシュア エリスのクオリティは
素晴らしいものがあります。
極上の肌触りに加え、目を見張るほど美しい
柄表現がその理由。その裏には、
多くの人がまだ知らない秘密がありました。
本当に上質なマフラーって、こういうものなのか。
ジョシュア エリスは、そんな素晴らしい発見を
もたらしてくれます。
250年以上の歴史を誇る、英国最古級の老舗
イングランド北部・ヨークシャーを本拠とするジョシュア エリスが創業したのは1767年。当初は服作りを手がけていましたが、18世紀後半にテキスタイルメーカーへと転換し、以来世界のトップブランドへ服地を供給してきました。250年以上という歴史は、老舗がひしめく英国生地業界でも最古級です。現在でも高級服地の生産に力を入れる一方、そのノウハウを活かして作られるマフラーも非常に高く評価されています。なかでも人気を集めているのは、最高級カシミアを用いて作られるチェック柄マフラー。昔ながらの製法による、手間ひまを惜しまないものづくりと、モダン・トラッドと評すべき絶妙な色柄が見事に融合しています。
上質なカシミアマフラーは、空気をまとうようにふんわりとした肌触りを備えています。それを叶えるための重要な工程が、生地の起毛加工。歴史ある英国マフラーブランドは植物の実を用いて起毛を行うことで知られていますが、ジョシュア エリスもそのひとつ。写真左上を見ると、生地の下に植物の実が敷き詰められているのがわかるはずです。英国伝統の製法を守る、オーガニックなものづくり。そんな基本を今も大切にしています。
柄の美しさを決定づける"縮絨"の技
そして、ジョシュア エリスのクオリティを支える最大の秘密は "縮絨"とよばれる工程にあります。縮絨とは、起毛を施す前に生地へ熱や水分などを加えて圧縮するプロセスのこと。これにより、繊細なカシミア素材をふっくらとボリューム感のある生地へと仕上げていくのです。あまり知られていませんが、この縮絨こそ美しい柄表現の要所。これが不十分だと、起毛を施したときに柄色がぼやけたり、乱れたりしてしまうのです。巷のチェック柄マフラーをよく見てみると、格子の縦線が横線に比べて薄く、まるでボーダーのように見えてしまうものも少なくありません。その点、ジョシュア エリスは縦横の格子がくっきりと浮かび、これが色柄の美しさにつながっているのです。縮絨を完璧に行うには、生地の伸縮率を熟知した職人技と、手間ひまを惜しまない誠実さが欠かせません。その両者を世界最高峰のレベルで実践しているのがジョシュア エリスというわけです。
ちなみに、ジョシュア エリスのマフラーデザインを手がけるのは山口浩久さんという日本人ディレクター。英国で生地作りの修業を積み、長年にわたって英国の最高級メーカーでキャリアを重ねてきたテキスタイルのスペシャリストです。いつもビスポークスーツに身を包み、クラシックやトラッドを愛好するウェルドレッサーでもある山口さん。メンズ・ウィメンズ・トラッド・モードのすべてに通じ、服飾業界でも随一の知見をもつ彼の存在が、ジョシュア エリスのクリエイティビティにおける大黒柱となっているのです。
「私は2015年からジョシュア エリスに参加しましたが、"もの作りの基本"がしっかりできていることに感銘を受けました。縮絨の精度はその最たるもので、ここまでクオリティの高い縮絨を行うメーカーは世界にも類を見ません。どれだけいいデザインを考えても、それを具現化できる技術力がなければ元も子もない。彼らが世紀をまたいで受け継いできた素晴らしい技があるからこそ、私も自由な表現ができるのです」。こう山口さんは話します。
本当に上質なプロダクトには、クオリティを裏打ちする美意識があります。ジョシュア エリスが密かに貫く縮絨の技、それはまさに、彼らが誇る美意識の象徴なのです。