トップ画像
FOCUS ON Vol.6 EDWARD GREEN
たっぷり語りたい、あのブランド・この名品

極上の手仕事を宿す
"ナポリシャツの新鋭"

久々に登場した、ドレスシャツの新鋭。
今季からストラスブルゴが展開するチリエッロは、
服作りの聖地ナポリのなかでも
ひときわ"手仕事の美"にあふれた仕立てです。
タイドアップはもちろん、
シャツ一枚でサラリと着ても絵になる。
そんなオーラを湛えた注目株です。

有名ブランドを支えてきた、知られざる超実力派

チリエッロというブランド名を初めて聞いた方も少なくないでしょう。創業は1982年。40年以上にわたってシャツ専業を貫いてきた同社は、ナポリのテーラリング業界で非常に高く評価される作り手です。というのも、数々の有名ブランドや世界的サルトリアがチリエッロにシャツ作りを依頼、そのクオリティを陰から支えてきた存在なのです。

その特徴は、温もりにあふれた手縫いと精緻なミシンステッチの双方において、トップレベルの技術力を備えていること。どちらかに特化したシャツブランドは数多く存在しますが、柔らかさと端正さをここまで高いレベルで両立できるのは極めて稀有といえます。このあたりは、さまざまな一流ブランドのためにシャツを作り続けてきたノウハウの賜物でしょう。

まずご注目いただきたいのは、襟の表情です。クラシックなセミワイドカラーにデザインされた襟羽根は、ナポリらしく薄い芯地を用いた柔らかな仕立て。しかしそこに走るステッチは正確無比で、これが凛とした表情を醸し出しています。イタリアのシャツは一般的に、北部のメーカーは端正さ、南部のメーカーは温もりをたたえた作風が魅力といわれますが、チリエッロが醸し出す雰囲気は、いわば両者の"いいとこ取り"。シャツ一枚でサラリと着ても、この印象的な襟が効いて際立つエレガンスを醸し出します。服装がシンプルになる春夏にも最適な一枚です。

さらに、第一ボタンがやや下寄りに付けられているのもポイント。これにより襟が首にぴったり沿う形になり、タイドアップしても窮屈さを感じさせないのです。

背中でも語るエレガンス

襟とともにシャツの表情を決定づける袖付けは、手縫いによって仕立てられています。肩口に配された美しいギャザーは、美観と着心地を同時に高めるため採用されたもの。優雅で柔らかな印象を醸し出しつつ、袖の可動域を広げることで腕を上げたり伸ばしたりした際の突っ張り感を解消します。

さらに特筆すべきは、背中の仕立て。肩甲骨の上を走るバックヨーク全体に、繊細なギャザーがあしらわれているのがわかります。これが後ろ姿に格別のエレガンスをもたらしているのです。適度にゆとりをもたせたシルエットともあいまって、クラシックな品格が薫り立つ佇まいです。着ている自分からはわかりませんが、後ろ姿は雄弁にその人の魅力を語るもの。この美しいギャザーは、想像以上にアイコニックなのです。

クオリティ・デザイン・シルエットともに、非の打ちどころがないチリエッロの仕上がり。加えてコストパフォーマンスが非常に高いのにも注目です。第二の肌のようなフィット感と、一枚で主役を張れる存在感。ストラスブルゴ発の新たなマスターピースとして、ぜひお見知りおきを。