FOCUS ON 2024 AW Vol.4  EDWARD GREEN

たっぷり語りたい、あのブランド・この名品

エレガントな現代的カジュアルを体現する
<エドワード グリーン>のワンストラップシューズ

キャップトゥ(ストレートチップ)のマスターピース「CHELSEA」、Uチップの代名詞的存在である「DOVER」など、英国紳士靴の聖地として名高いノーザンプトンの伝統を受け継ぐ最高峰ブランドとして、130年以上にわたって君臨し続ける<エドワード グリーン>。その長い歴史と伝統、卓抜のクラフツマンシップによって裏打ちされた最高級のクオリティとステータスを堪能できるのは、先述したクラシカルなレースアップシューズの「名作」ばかりではありません。トラッド感と洒脱なエレガンスをまとい、軽快な履き心地を実現するワンストラップシューズは、21世紀の新たなマスターピースとして受け継がれていくこと、間違いなしです。

ワンストラップが鍵になる
最旬にして最善の選択肢

1890年、<エドワード グリーン>の創業者であるエドワード・グリーン氏は、イングランド中東部、ロンドンの北西100kmほどに位置し製靴産業の中心地として栄えたノーザンプトンの小さな工房で、紳士用ハンドメイドレザーシューズの製作を開始しました。"妥協なきエクセレンス"という哲学に従い、傑出したその高い技術によって優れた製品をつくり続けるグリーン氏は、瞬く間に才気煥発な稀代の靴職人として、英国中で名を馳せることに。当初からアメリカ人実業家のチャールズ・グッドイヤー・ジュニアによって考案された「グッドイヤー・ウェルテッド製法」を取り入れ、美しさと快適性、そしてメンテナンス性を兼ね備える靴づくりを極めることで、英国靴の最高峰としての揺るぎなき評価を獲得しました。そして世界中のセレブリティや、多くの服飾愛好家を魅了し続けてきたのです。


そんな<エドワード グリーン>を代表するモデルといえば、「CHELSEA」と「DOVER」という不朽の銘靴2足をおいてほかにないでしょう。「CHELSEA」は内羽根式のストレートチップ、英国式にはキャップトゥやオックスフォードと呼ばれるカテゴリーの最高傑作として、常に名の挙がる名品。羽根(レースステイ)に刻まれた、スワンネックと呼ばれる流麗なステッチは唯一無二のアイコンです。また「DOVER」は、イノシシの髭を撚り上げた針を使用し、熟練の職人が一針一針丁寧に手縫いするスキンステッチをつま先部分に施したUチップ。Uチップはストレートチップと比較してカジュアルな印象になりがちですが、「DOVER」はこのスキンステッチによって繊細で洗練された表情に。よってどちらのモデルもともに、ドレッシーなスーツやジャケパンスタイルにフィットする端正なルックスに仕上がっているのです。

おそらく多くの服飾愛好家、紳士靴マニアがすでに手にしているであろう、この「CHELSEA」と「DOVER」ですが、ではそれ以外に<エドワード グリーン>で見るべきモデル、いま手に入れておくべき隠れた名品はないのでしょうか? もちろん、あります。それが今回ご紹介する、「EALING」と「HORTON」という2種類のワンストラップシューズなのです。

「EALING」は、アッパーにきめ細やかなスエードを使用したシングルモンクストラップシューズ。「CHELSEA」にも採用され、<エドワード グリーン>を象徴する「202」ラスト(Eウィズ)が採用されています。熟練の職人が時間をかけて丁寧につくりあげる「グッドイヤー・ウェルテッド製法」にクッション性や屈曲性に優れるラバーソールを組み合わせることで、軽快な機動性と突然の雨にも安心の万能性も備えているのがポイント。クラシカルなルックスとモダンな機能性を両立する、新定番候補の最右翼です。



それに対して「HORTON」は、同じくきめ細やかなスエードで仕立てられたスリップオンタイプのワンストラップシューズ。ほどよく丸みがありながらもスリムなトゥシェイプが特徴の、ローファー用定番ラスト「184(Eウィズ)」を採用し、ブラック、ベージュ、カーキというシックな3カラーを展開しています。トップライン(履き口)には美しいパイピングが施され、かかとの上部になだらかな傾斜をつけることで、踵が抜けにくくしているのも特徴です。また「EALING」はラバーソールですが、この「HORTON」はあえてのレザーソール。アッパーのエレガントカジュアルな面構えと、カリッと小気味いい足運びを味わえるレザーソールというコンビネーションが絶妙で、上品なルックスと快適な履き心地、コーディネートのしやすさなど、すべてを兼ね備えるパーフェクトな逸品といえるでしょう。スニーカーのように軽やかなのに、スニーカーとは一味違う、洒脱な足元が演出できそうです。

上質な素材と精緻な手仕事が醸し出すエレガンスは、本格レザーシューズならではのもの。しかし伝統的なドレスシューズではなく、スニーカーのような気軽さと軽さを取り入れながら、同時に王道感や上品さを手に入れられるカジュアルな革靴がほしい───そんな"気分"にジャストフィットする<エドワード グリーン>のワンストラップシューズは、最旬にして最善の選択肢となるはずです。


Photographs by Mai Kise
Styling by Taichi Sumura
Edit & Text by america
Cooperation by 08book