Style No.02 フォトグラファー 長山一樹
毎回、ゲストの方がストラスブルゴのセレクトアイテムからお気に入りを選定し、セルフスタイリング。その着こなしについて語っていただくこのコンテンツ。2回目は前回に引き続き、フォトグラファーの長山一樹さんのコーディネイトをご紹介。〈サルトリオ〉のチェックジャケットをアメカジミックスで表現していただきました。
アメカジとも相性がいい チェックジャケットを狙う
前回もお話しましたが、薄いオフホワイトからブラウンにかかる色がそもそも好きなので、〈サルトリオ〉のこのチェックジャケットがまず目を惹きました。オーセンティックな柄の中でもグレンチェックというのは自分の好きなパターンではありますが、思えばこういう軽い色のチェック柄は今まで着たことがなかったんですよね。でも、夏らしく軽快な印象に仕上がるので、とても新鮮です。ブラウン系のチェックは、ネイビーと比べるとビジネス色が薄いのもいいですよね。実は、イタリアのスーツやジャケットってあまり着ないんですけれど、これを自分らしく着こなすなら、やっぱりアメリカンな要素をミックスしようかと。イタリアのドレス感のある綺麗なジャケットに、あえてアメトラやアメカジテイストを混ぜて着崩すと、カメラマンとしても行儀が良すぎない感じでちょうどいい塩梅に。ロケにせよスタジオにせよ、「今日どうしたんですか?」と、かしこまった空気にならず、ジャケットも上手く馴染むと思います。あと、光沢感がないっていうのはセレクトの決め手かもしれません。光沢のあるジャケットの場合、アメカジだとミスマッチになりますから。これは起毛したパイル地のような素材感が絶妙で、いっそう合わせやすい印象を受けました。
撮影の現場で初めてお会いするというケースが少なくないのですが、例えば女優さんとか目上の方を撮る機会もあるので、そういうときに小綺麗に見えるだけで印象がかなり変わってきます。「そのジャケット素敵ですね」とか服の話から会話のきっかけにもなったり。コミュニケーションツールのひとつでもあるんです。そういう意味では、この〈サルトリオ〉のジャケットは、カジュアルにも使えるし、だけどカチッとした印象も与えられるので仕事着としても重宝しそうなアイテムです。
以前、ナポリの超老舗でスーツをオーダーしたことがあるんですが、作りや素材感が本当に素晴らしくて。それにも通ずるこの〈サルトリオ〉の仕立てのいいジャケットに、あえてカサカサの乾いた色のシャンブレーシャツでドレスダウンさせているのもポイントです。"ザ・アメリカ"な〈RRL〉のシャツにニットタイを合わせてトラッドな味付けを演出。夏っぽさも意識して、同系色のブルーでインナーをまとめました。スタイルを決定づけるパンツは、僕がスーツを着始める前から愛用しているカーキのファティーグパンツをプラス。ウッディ・アレンなんかをイメージして、ちょっとIVYスタイルを崩したようなアメカジとミックスしたら面白いかなと思って、あえて軍パンにシャンブレーを合わせてみました。直球のアメカジに、品のいいイタリアンジャケットというコンビネーションが新鮮ですよね。ハットは、アメリカ物の老舗〈ステットソン〉なんですが、普段からタフに使っているアジの出たハットでバランスを取りました。ここに黒いリボンだと要素が多いので、同系色のリボンにして色を引き算しています。また、カーキのパンツを穿くときは、茶色かバーガンディの足元と決めていて、今回は、〈オールデン〉のバーガンディをセレクト。カーキとの相性が抜群のカラーリングです。イタリアのジャケットに、とことんアメリカものを使ってコーディネイトしていますが、本当に馴染みが良いですよね。やっぱりこの光沢をなくした、パイルっぽい素材感が効いているんだと思います。
スーツとかジャケットを着ていていつも思うのは、例えばロケ後の食事とかで、ちょっとこの服で入りたくなかったなっていうケース。それがなくなりましたね。泊まりのロケとかに行って、ちょっといいお店入るとか。どんな人にも、どんな店にも、失礼なく対応できるっていうのが、このスタイルのいいところ。まさに今回選んだ質のいい〈サルトリオ〉のジャケットは、そういうシーンでも活躍すると思います。持っているとすごく便利ですね。一緒にいる相手が若くても目上の方でも、日頃から身だしなみをキチンとしていると印象を壊すことはまずないですから。それが上質なジャケットを現場で羽織るメリットのひとつかもしれません。
SARTORIOとは?
クラシックでありながら時代に合わせたモダンなスタイルを提唱するブランドSARTORIO(サルトリオ)。軽快なナポリ仕立てを軸に新鮮なスーツスタイルを打ち出している。ナポリで最大級の工場を持つKITON(キートン)グループの傘下であり、その中核を担うサルトリオは、卓越した技術力で表現されるスマートなシルエットやヴィンテージを現代的に解釈したファブリックも大きな魅力と言える。
フォトグラファー
長山一樹
KAZUKI NAGAYAMA
1982年生まれ。神奈川県出身。スタジオマンを経て2004年に守本勝英氏に師事。2007年より独立。ファッション誌のほか、アパレル広告など多数のクライアントワークを手掛ける。現在は、映像にも力を入れており、人気YouTubeチャンネル『THE
FIRST TAKE』の映像監督を務めるなど、多方面で活躍中。