Style No.04
イラストレーター 綿谷寛
毎回、ゲストの方がストラスブルゴのセレクトアイテムからお気に入りを選定し、セルフスタイリング。その着こなしについて語っていただくのがこのコンテンツ。4回目は前回に引き続き、イラストレーターとして長きに渡りメンズファッションを描き続けてきた綿谷寛さん。〈クルチアーニ〉のカーディガンをセルフスタイリングしていただきました。
ゴルフスタイルに取り入れたい
このカーディガンは、僕のワードローブにはないアイテムですね。だけど、いざお店でこれを見た時にコーディネイトのイメージがすぐに浮かんだんです。60年代のアメリカの広告に出てそうな感じだなと。当時のものは縦ストライプだったけど、ちょっと懐かしい匂いがしたんですよね。だから、アメリカの60年代風の着こなしにして、薄い黄色のポロシャツとパンツを合わせました。僕の世代は、昔のポロシャツブームに馴染みがあるし、僕自身も相当な枚数のポロシャツを持っています。だから、今でも春夏の定番アイテムなんです。どうしても僕がコーディネイトするとアメトラっぽくなっちゃいますね(笑)。こうしてみると、一般的な〈クルチアーニ〉の着こなし方とはずいぶん違うかもしれないですね。みんなそうだと思うんだけど、やっぱり自分が似合う服って自分が一番分かってるからかな。
実は最近、ゴルフを始めたんですけれど、このカーディガンは、ゴルフにもいいですね。僕のゴルフスタイルは、ご想像通り、昔のアーノルド・パーマーとかジャック・ニクラウスとか往年の名プレイヤーのイメージだから、カーディガンにポロシャツ、グレーのパンツが基本なんです。本当はそれに黒の革靴を履きたいんだけど、残念ながらそれがないんですよ。それこそ、オールデンにソフトスパイクを付けたいぐらい。コードヴァンだと湿気でダメになっちゃうから、カーフ革かな。このカーディガンは風通しも良さそうだし、素敵だと思いますよ。とはいえ、この格好でゴルフするならスコアが100を切るくらい上手くないとカッコ悪いですけどね(笑)。
実際着てみて、着心地もすごくいいですね。窮屈な感じがまったくしないし、素材がいいから見た目の清潔感もありますね。イラストを描く時もそうなんですが、素材っていうのはすごく大事。特に絵を描くときは、シワの描き方で生地を表現しています。麻だったら丸いシワとか、コットンだったら腕を曲げたところの線の描き方とかね。やっぱり、ある程度の年齢を重ねたら素材の良いものを選ばないとだめですよ。僕が絶対に買わないのは、ダメージ加工の服と古着です。僕自身に味が出ちゃってるのにさらにエイジングされた服を着るっていうのは、どうしても抵抗があるんですよ。だから、上質なものをきれいに着るという着こなしになるんです。前回のジャケットもそうですが、僕のお洒落の基準は、清潔感のある着こなしで、これからも変わることがないでしょうね。
CRUCIANIとは?
1966年にイタリア・ペルージャにてニットファクトリーとして創業。1993年より、ブランドとしてコレクションをスタート。現在では、世界最高峰のニット糸製造工場、Caliaggi社の糸を主に使いニットコレクションを展開している。定番モデルのシルエットは、タイト&フィットが基本で、着心地の良いシルクカシミアニットがブランドのアイコンになっている。クラシック過ぎない、モダンな感覚を持ったハイクオリティなブランドとして人気。
イラストレーター
綿谷寛
HIROSHI WATATANI
1957年生まれ。東京都出身。1979年、雑誌『ポパイ』にてイラストレーターとして活動を始める。アメリカの50年代のイラスト黄金期を彷彿させる正統派のファッションイラストと、風刺的でコミカルなタッチを使い分け、雑誌や書籍、広告媒体で活動中。2018年には、初の作品集となる『STYLE:男のファッションはボクが描いてきた』(小学館)を発刊。